新しい仕事環境を整える

 自宅で仕事をすると気が散りやすく、誤解も生じかねない。チームメンバーが各人の仕事環境をよく知れば、互いの行動についての理解も深まっていくだろう。

 チームは往々にして、「メンバー同士が互いに順応すべきだ」というアドバイスを無視する。無意味だとか、時間のムダだと思うのだ。

 しかしこのアドバイスは、社会心理学の「根本的な帰属の誤り」という概念によって強く裏打ちされている。これは、他人の行動を、状況要因を軽視して気質や性格のせいにする傾向を指す(たとえば、「彼は周囲の雑音が入り込むのを防ぐため、ミュート状態を保とうとしている」とは考えずに、「まったく発言しないとは、当事者意識が足りない」と決めつけるような場合である)。

 ●バーチャル・ツアーを実施する

 プロジェクトの始動時、各メンバーに「自宅の仕事スペースを手短に紹介して、個別の環境や事情を知らせてください」と働きかけよう。仕事の最中に気が散る原因は何だろう。犬の鳴き声、トラックの騒音、それとも子どもの帰宅だろうか。この「ツアー」の目的は、一人ひとりの置かれた環境を同僚達に知らせ、仕事をするうえでの制約に配慮してもらうことにある。

 ●一風変わった仕事環境を受け入れる

 ニューヨークで働くミレニアル世代のマイケルは、アパートを大勢でルームシェアしているため、仕事用に独占できるスペースがない。自分の他にもルームメイトの誰かが在宅勤務を始めたなら、ビデオ会議の最中に背後で人が歩き回ったり、会話をしたりするおそれがある。

 マイケルのような事情を抱えたチームメンバーには、「難しい事情は理解しました。時間をずらして室内が静かなときに会議をするなどの対策を話し合いましょう」と伝えよう。

 ●決めつけや固定観念を避ける

 女性エグゼクティブのサラは、電話会議の最中に他の参加者から「ミュートしてください。赤ちゃんの泣き声が聞こえてきます」というテキストメッセージを受け取り、「うちの子は昼寝をしています。泣いているのはマシューの息子さんではないかしら」と返信した。在宅勤務をしている同僚についてはそもそも十分に状況が掴めないため、いったいどれくらい仕事に身が入っているのか、偏見に基づく思い込みをしがちである。

 新型コロナウイルスのような脅威は混乱を引き起こすだろう。しかし、効果的な対応策をとり、事業目標の達成に向けて業務を継続することは可能である。混乱は機会をも生む。この機会に新しい働き方を模索すると同時に、古くからの前提を問い直しておけば、その努力は長期的に実を結ぶだろう。


HRB.org原文:Coronavirus Could Force Teams to Work Remotely, March 05, 2020.


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