プログラマティックOOHは、広告主にとってメリットが大きい

中村伊知哉氏 
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム理事長。専門分野はメディア政策、情報通信、デジタル知財、ポップカルチャー。2020年4月より、iU(情報経営イノベーション専門職大学)学長

――LIVE BOARDが提供する「プログラマティックOOH」とは、どういうものなのでしょうか。

神内 オンライン広告の世界では、「ある特定の広告枠を見ている人がどんな属性なのか」や「その広告枠をいくらで買いたいのか、あるいはいくらで売りたいのか」といった情報がすぐにわかるため、広告主にとって相応しいターゲットにきめ細かくアプローチすることができます。プランニングから枠の取引、そして配信に至るプロセスを完全に自動化し、適切なターゲットが見ている広告枠を、適切な価格で購入し、適切な広告を配信する。これが「プログラマティック」ということです。

中村 デジタルOOH広告の世界においても、オンライン広告と同じようにきめ細やかな広告取引が自動で行えるようになってきたということですね。家の中で映画を見る時に、今までだとお店に行ってDVDを買ってきたり、借りてきたりしていたのがクラウド上で一元的に集約され、検索やレコメンドによって自分の好みに合致したものをいつでも、好きなときに見ることができるようになったことと似ていますね。

神内 まさにおっしゃる通りです。「こういうターゲットにリーチしたい」とLIVE BOARDに言ってくだされば、さまざまな種類のメディアを束ねている私たちはワンストップで提供できます。広告主から見れば利便性も高まり、効率も上がります。

中村 街全体として映像体験ができるメディアの設計がようやく実現しますね。

神内 海外のマーケットを見ると、OOHの市場はこの10年間、年率平均で3%以上ずっと伸びています。デジタルだけなら2桁成長、つまり毎年10%以上成長している。今、成長し続けている広告メディアというのは、オンラインとOOHだけなんです。

 広告主は、OOHなら今までリーチしづらかった人たちを捕捉できるということが分かってきた。ただ日本だとその指標というのがまだまだできていないし、煩雑な取引システムがあったので、どうしてもOOHで広告を出すことに二の足を踏んでいたのではないかと考えています。

中村 逆に言うと、日本のOOH広告には伸びしろがあるということですね。

神内 おっしゃる通りです。オーストラリアやイギリス、香港、シンガポールなどのOOH先進国は既に50%以上がデジタル収益ですが、日本はまだ20%ほどです。ここが力の発揮のしどころです。