THEPALMER/Getty Images

プレゼンに失敗する理由は何か。ほとんどの場合、事前の準備に問題がある。台本の流れを表面的に暗記するのではなく、「知り尽くす」ことが重要だ。事前につくり込みすぎると不自然に見えると危惧するかもしれないが、それは発表内容を知ってはいても知り尽くしてはいないからだと筆者は指摘する。本稿では、人前で話すための準備を完璧にこなす5つのテクニックを紹介する。


 3人の審査員が、私ににっこりほほ笑んだ。その笑顔に鼓舞されて、勝てる予感がした。この大学朗読コンテストで、私は優勝できるかもしれない。

 詩の最初の1節は完璧に決めた。ところが、まるで全身麻酔をかけられたかのように、第2節の単語を1つも思い出せない。審査員の励ましの笑みも、パニックをあおるだけだった。ついに時間切れのブザーが鳴り、私は退場した。そして、20年にわたる暗記への恐怖が始まった。

 キャリアの初期、私は人前で話をするたびに、何かを忘れはしないかという不安から、頭のどこかで警戒態勢を敷いていた。だから、目の前の聴衆に集中したり、聴衆とやり取りしたりすることがなかなかできなかった。

 その後、何年かかけて、即興でスピーチをする技を磨いた。私は、パブリックスピーキングの上達を目指す国際NPOトーストマスターズの例会の恐るべきテーブルトピック(1~2分の即興スピーチ)にも、CEOからの手ごわい質問にも、ほとんど戸惑わなくなった。やがて、もっと大きなプレゼンテーションでも、即興のスピーキングスキルが使いこなせるようになった。

 こうして迎えたパリの会議だった。準備をしすぎて要点を忘れたときに固まってしまうより、その場に集中するほうがいいと考えた私は、ほとんどぶっつけ本番でプレゼンテーションに臨むことに決めた。ところが本番では、聴衆からの極めて突っ込んだ質問に、手も足も出なかった。研究を即座に引用することも、豊富な知識をもって答えることもできず、私の発表はまったく期待外れなものに終わった。