このような指針を作成すれば、女性が更年期について話せる職場をつくりやすくなる。しかし現実には、更年期の女性たちが職場で居心地の悪い思いをし続けている。

 更年期をめぐるタブーを打ち破るという難題は、女性たちだけが取り組むべきものではないが、更年期の症状で仕事に影響が出ている女性たちは、どのような対応ができるのか。私たちの研究によれば、以下のことを実践するとよいだろう。

・職場で「元気? 調子はどう?」などと聞かれたときは、もし可能なら、率直に、はっきりと自分の状態を伝えよう。婉曲的な表現を用いると真意が伝わらず、不愉快な状況がずっと続きかねない。

 たとえば、本稿の執筆者の一人(ボルトン)は以前、ある政府の重要な会議の最中にホットフラッシュを経験した。あまりの暑さに顔を扇ぎ始めると、出席者の一人である男性リーダーが軽口を叩いた。「質問攻めで火あぶりにされる準備ですか?」

 そのとき、ボルトンは心臓が激しく脈打ち始めたが、冷静にこう述べた。「いいえ、違います。私はいま更年期なのです。その症状の一つが激しいホットフラッシュです。女性は誰もがいつか経験することです。このような会議の場では、しかるべき配慮が必要だと思います」

 その男性リーダーは一瞬、固まってしまったが、配慮ある態度を取った。その真摯な言葉は素晴らしいものだった。「とても重要なことだと思います。明らかに、私はその点にこれまで十分な注意を払ってきませんでした」と述べたのだ。

・職場で自分が十分な支援を受けられておらず、ほかの女性たちの状況も同様だと思えば、みんなで声を上げてもよい。#MeToo運動が実証したように、大勢で一緒に訴えれば、影響力がいっそう強まる。それに、組織内で不利な立場に追いやられるのを防ぐためには、大勢で声を上げたほうが安全に思えるだろう。

 いまだに職場に残っている数々のタブーの中でも、更年期をめぐるタブーは特に強力で、影響が大きく、しかも差別的なものと言えるだろう。更年期が引き起こす心身の症状と、それが仕事に及ぼす悪影響は、職場のお粗末な方針と、性別や年齢をめぐる時代遅れの固定観念により、いっそう深刻なものになっている。

 こうしたタブーを打破するために、私たち誰もが行動を起こせるし、そのために役割を果たすべきだ。


HBR.org原文:Is Menopause a Taboo in Your Organization? February 04, 2020.


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