●率直に話をする

 ジャック流リーダーシップの2つ目の特徴は、驚くほどの率直さである。

 著書『ウィニング 勝利の経営』の第2章を率直さに充て、その欠如を「致命傷」と呼ぶほか、「優れたアイデア、速やかな行動、全力で貢献している有能な人材の妨げになる」とも指摘している。

 ジャックは会うと必ず、こちらが十分な情報と確信に基づいて意見を述べようとしているかを、単刀直入な物言いで確かめようとするため、どれだけ深く彼の人柄を知るようになっても、その姿勢には唖然とさせられたものである。

 多くの人はジャックの率直さを、熱心に人材を選別する姿勢と結び付けている(「選別」は『ウィニング 勝利の経営』第3章の表題でもある)。選別とは、従業員を成果に応じて上位20%、中位70%、下位10%に分類することを指し、歯に衣着せぬ彼一流の表現によれば、下位10%は「社内に居場所がない」のだった。

 このような率直さ、すなわち直球型のフィードバックや解雇通告は、一部からは冷酷と受け止められた。ところが本人は、思いやりだと主張した。

 あるカンファレンスに一緒に登壇した際も、同様の発言をしていた。自身の流儀に疑問を投げかけた参加者に、こう切り返したのである。

「成果の思わしくない人材に長年その事実を告げず、改善に向けた努力、より適した部署の有無の確認、転職先探しなどの機会を与えなかったなら、どうなるでしょうか。やがて景気が悪化して労働市場が著しく冷え込んだときに、備えができないまま年齢を重ねたその人を、解雇せざるを得なくなったとしたら……。どちらがより残酷でしょうか」

 念のため指摘しておくが、ジャックが手加減しなかったのは仕事の成果についてだけではない。彼は理念をも重視し、実際に2×2のマトリクスを用いて、成果と理念の2つを基に人材評価を行っていた。両方とも高スコアならよいが、そうでなければ当人に評価を伝え、改善が見られなければ退社させていた。