(1)立ち止まって深呼吸する

 メッセージを発信する前に、1分立ち止まって深呼吸をしよう。もしあなたが、その場で最も高いポジションの人物である場合、あなたの振る舞いが、周囲のスタッフの行動や心の持ち方の模範となる。1分かけて心を落ち着かせれば、同僚やクライアントに、冷静で合理的な姿勢を印象づけることができる。

 これは電話やメールの場合でも効果的だ。あなたが不安を感じていると、それは周囲に伝わるものだ。共感ストレスの研究によると、ストレスを感じている人を見ると、それを見た人はもっとストレスを感じるようになりかねない。

(2)オーディエンスの立場になる

 スピーチをするときは、事前にオーディエンスについて知っておくことが、きわめて重要だ。先行きが不透明なときは、媒体にかかわらず、それが一段と重要になる。

 オーディエンスについて徹底的な戦略分析をしよう。彼らの懸念は何か、どんなことに疑問を抱いていて、何を知りたいのか。すぐに答えがほしいと思っているのは、どの部分か。「多くの方が?と感じているかと思いますが」といった表現が使えるかもしれない。

 相手のニーズに迅速に対処するほど、相手は素早く落ち着きを取り戻す。それを無視すると、相手はあなたの話を聞いてくれなくなる可能性さえある。

(3)リサーチをする

 緊迫した状況のとき、間違った情報は特に大きなダメージをもたらしかねない。信頼できる情報源を探し、そこから得た情報を完全に理解したうえで、明快かつ簡潔な言葉で伝えよう。情報源のリンクも共有して、相手も信頼できる情報を得られるようにしよう。

 ハーバード大学は、新型コロナウイルス感染症の専用ウェブサイトを作成し、信頼できる情報源のリストを掲載している。また、筆者ら教職員に最新情報をメールで送ってくれる。

(4)明快かつ自信をもって話をする

 100%の確信を持てなくても、自信を持って話すことはできる。疑いや不透明性が存在しても、それが自分のコントロール下にあるように、自信をもって伝えることはできるのだ。「まだ、さまざまな報告が入ってきている最中ですが、現時点でわかっているところでは……」といった表現ができるだろう。

 新しいニュースがなくても、オーディエンスと頻繁にコミュニケーションを図ること。そうすれば、あなたがその問題に積極的に取り組んでいることが伝わる。コミュニケーションの専門家であるナンシー・デュアートは、このトピックについて、数年前に含蓄に富む論文を書いている。その中でデュアートは、「あなたのアイデアが完成されていなくても、人々は自分がそのプロセスに参加していると感じると、より積極的に受け入れてくれるようになる」と述べている。

(5)具体的な次のステップを用意しておく

 状況が不透明なときは、具体的な「やることリスト」を示すことが、あなたのチームをまとめる助けになる。あなたが次に何をするつもりかを伝えたり、オーディエンスが何をすべきか推奨したりすると、状況が管理下にあり、その安定化に自分も貢献しているという感覚を相手に与えることができる。「これが私たちの取っている措置です」とか、「みなさんにできることをリストアップしてみました」といった表現が役に立つだろう。

 不安定な状況下でもメッセージを伝えることは、リーダーシップに不可欠のスキルだ。あなたが正式なリーダーシップをとる地位にあるかどうかは関係ない。むしろ、不透明な状況でもきちんとしたメッセージを発信することは、あなたにリーダーシップをとる能力があることを示す機会になる。

 これまで述べた5つのステップを踏み、まずは自分の心を落ち着かせて、それが周囲に伝わるようにしよう。


HBR.org原文:How to Reassure Your Team When the News Is Scary, March 05, 2020.


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