(4)従業員のリモートワーク体制を最大限に整えているだろうか?

 小売りや製造、医療など、現場に出向くことが避けられない仕事はたくさんある。しかし、出勤や出張でウイルスに感染するリスクがある場合、遠隔で実行できる業務(会議を含む)については、そうするよう奨励すべきだ。対面での会議というリスクを冒すよりも、ビデオ会議などのほうがよい。

 我々の調査では、雇用主の約60%が、リモートワークによって勤務の柔軟化を図った(46%)、またはその予定である(13%)としている。

(5)公衆衛生について従業員にリアルタイムで伝達するための、確実なシステムがあるだろうか?

 危険なうわさ、そして従業員の不安は、ウイルスと同じように瞬く間に広がる。企業は欠勤者も含めた、すべての従業員と連絡が取れるようにしておくことが必須である。そして感染対策、罹患の症状、リモートワークに関する方針、出社禁止や職場復帰をめぐる方針などについて、事実にもとづく最新の情報を、社内で擦り合わせたうえで、従業員に定期的に伝えねばならない。

 こうした伝達は、緊急対策チームから発信されるかチェックを受けるとよい。そして、複数のマネジャーや部門によって伝達内容が異なり、方針が一貫性を欠くような事態を避けるために、しっかり擦り合わせておくことが求められる。

 これを実現するためには当然ながら、組織が全従業員の最新の電話、テキストメッセージ、メールの連絡先を把握しておき、全社レベルでのコミュニケーションを定期的にテストしておく必要がある。一括で連絡できる最新のシステムがないという会社は、いまがそれを構築するよい機会だ。

(6)国外・国内の出張について方針を見直すべきだろうか?

 調査対象企業の65%は現在、アジアへの渡航およびアジアからの入国を制限している。新型コロナウイルス感染症が最もまん延している地域からの出張を制限するのは賢明だ。感染予防、そして出張後の隔離や出社禁止による生産性の損失を防ぐ、という両面で理に適っている。

 企業はCDCのTravel Health Noticesと、米国務省のTravel Advisoriesを常に確認し、どの出張を中止または延期すべきか判断しよう。CDCは本稿執筆時点で、中国、韓国、イタリア、イランへの不要不急の渡航はすべて避けるよう勧めている。

 従業員は、体調不良の場合は特に出張を避けるよう、気をつけなくてはならない。帰国後、コロナウイルスに感染している可能性が低くても、熱があれば隔離措置を受けるかもしれないからだ。

(7)予定しているカンファレンスや会議を、延期または中止すべきだろうか?

 対面でのカンファレンスや会議、とりわけ世界各地から人が参加するイベントについて、中止の報告がすでにあちこちで見られる。今後数ヵ月で中止はさらに増えることが予想される。我々の調査では、企業の47%が、特定の国々で、北米の従業員のために予定されていた会議を中止すると回答した。

 地元の保健機関が、特定地域でのイベントを中止すべきか否かについて指針を発表するはずだ。カンファレンスの主催者は例外なく、感染のリスク軽減について情報を発信し(握手をしないよう促すことを含む)、適切な手洗い設備(および手指洗浄液)がすぐに利用できることを保証すべきである。

(8)現場の責任者や職長は、しかるべき訓練を受けているだろうか?

 調査対象の中で、中国に従業員がいる企業の65%は、新型コロナウイルス感染症がもたらす影響について、職長に訓練を提供している。北米に従業員がいる企業の34%は、職長を積極的に訓練している、またはその予定であると答えた。

 訓練がどんな内容であれ、職長に求められるのは、適切な情報(感染対策や会社の方針など)にすぐにアクセスできること、そして感染が起きた場合に社内の誰に報告するのかを把握しておくことだ。

 そして感染の疑いが少しでも生じた場合、職長または社内で指定された担当者が、地域の保健当局にすみやかに報告しなければならない。ネットで「地域 保健局」と郵便番号か市町村郡の名前で検索すれば、たいてい正確な連絡先情報が出てくるはずだ。米国では、800-232-4636でCDCに電話をかけ、コロナウイルスに関する質問をしてもよい。

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 健康を脅かす世界規模の緊急事態に備え、入念に計画を立てておけば、従業員、顧客、事業を守ることにつながる。とはいえ計画は、どう実行するか次第で成果が決まる。企業は目下の事態を機に、自社の対応計画を最適化し、実際に試してみるべきだ。

 新型コロナウイルス感染症が世界中で大々的に広がるか否かにかかわらず、対応する能力を持つことは非常に有益となるだろう。なぜなら、その原因がコロナウイルスであれ、未来の別の病原体であれ、世界的な感染拡大は「起きるかどうか」ではなく、「いつ起きるか」の問題だからである。


HBR.org原文:8 Questions Employers Should Ask About Coronavirus, March 02, 2020.


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