(1)職場で従業員を感染から守る最善の方法は何だろうか?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスは、咳とくしゃみによる呼吸器からの飛沫を介して広く伝染し、伝染力は強いと考えられている。また、コロナウイルスで汚染された表面や物体に触れた手で、鼻や口に触れた場合も感染する可能性がある。米国疾病対策センター(CDC)は、就労者に以下を勧告している。

・呼吸器系の症状(咳、くしゃみ、息切れ)、および38度以上の発熱がある場合は自宅にとどまる。
・職場で上記の症状が出た場合は退勤する。
・咳やくしゃみをするときは、ティッシュ、ひじ、肩などで覆う(素手は使わない)。
・頻繁に手を洗う。石鹸と水で最低20秒、またはアルコール性の手指除菌液を使う。

 ここに追加したい点として、握手を全面的に避けることも、感染拡大のリスクを減らす方法として理に適っている。それで気まずくなる場面もあるかもしれないが、医療機関では一般的になりつつある。

 手洗いは最も効果的な予防法の一つだ。雇用主は、従業員が洗面設備をすぐに利用でき、そこに石鹸と(理想的には)ペーパータオルが十分に確保されているよう、万全を期す必要がある。ジェットタオルよりも紙のタオルで乾かすほうが、ウイルスを拡散しにくいことが複数のエビデンスで示されている。

 アルコール性の手指除菌液や除菌シートを職場全体に配置し、ワークステーションやカウンター、ドアノブなど頻繁に触れられる表面はすべて、定期的に清掃・除菌すべきだ。一般的な洗浄剤で共有スペースを清掃する頻度を増やせば、呼吸器疾患の伝染リスクも減らすことができる。

 現在はマスクが不足していることもあり、医療機関ではない組織はマスクを備蓄する必要はない。健康な人が感染予防のためにマスクを使うことを、CDCは奨励していない。

(雇用主がやるべきことについてもっと知りたい方は、CDCによるInterim Guidance for Businesses and Employersを参照。)

 当社ウイリス・タワーズワトソンがつい先頃、世界各地の158の雇用主(うち半数以上が多国籍企業)を対象に実施したアンケート調査によれば、ほとんどの回答者は従業員を守るために数々の措置を講じている。

 容易に想像できる通り、この点では中国が先を行っている。調査対象となった中国企業の約90%は、手指除菌液の利用機会を増やしている。そして80%以上が、公衆衛生に関する伝達(感染予防に関するポスターの掲示など)を強化し、可能な場合はなるべく在宅勤務をさせている。

 新型コロナウイルス感染症が広がり始めたばかりの北米では、企業は積極的な姿勢を見せている。調査対象となった北米企業の70%は、注意喚起の強化をすでに図っている、またはその予定であり、50%以上が手指洗浄液の利用機会を増やした、またはその予定と回答している。