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自分の居場所を確保する最大の条件は、仕事の成果を上げること。そのように考えているならば、見直す必要がある。現実には、生き残れるかどうかは組織の力学で決まるからだ。本稿では、どれほど大きな成果を上げていても、あなたが解雇を言い渡される4つの兆候を紹介する。


 ゴードン(仮名)は、ある大手製造企業の売上高5億ドルの事業部門で、グローバル営業担当副社長を務めていた。私がコーチングを担当し始めたときは、部署を率いてすでに6年になり、戦略を成功に導いて成果を上げていた。

 部署の売上げは、ゴードンが加わって以降で1.5倍増を記録し、同僚や顧客からも高く評価されていた。人間関係を築く能力に長けていたし、顧客のニーズをエンジニアリングやサプライチェーンのあり方に反映させることで商品を改善し、売上げを伸ばす手腕も傑出していた。

 一見すると、職を失うリスクのある人物とは思えない。しかし、私たちがはじめて会った3週間後、ゴードンにショッキングな出来事が起きた。解雇を言い渡されたのだ。

 いったい、何が起きたのか。実は明確な徴候がいくつもあったのに、本人はまったく気づいていなかった。徴候を察知する方法を知らなかったのである。

 たとえば、解雇通告の半年前にCEOが交代した。それまではいつも幹部会議に招かれていたのに、新しいCEOの下では、何の説明もなくその重要なコミュニケーションの輪から締め出された。ゴードンは扱いの変化に不満を覚えたが、これが新しいCEOのマネジメントスタイルなのだろうと考え、自分の立場に暗い影が差しているとは思わなかった。

 自分の職が危ういことを示唆する典型的な徴候があっても、それに気づけない人は珍しくない。その兆候がわかりにくく、ようやく気づいたときには、もう手遅れの場合もある。

 しかし、職場で生き残るためには、そうした見えにくいメッセージを察知することが非常に重要だ。もしゴードンが経営チーム内の力学の変化を感じ取る才覚を持っていれば、危うい徴候に気づき、心の準備ができていたかもしれない。解雇を回避するために対策を取れた可能性もある。

 意外かもしれないが、いま大きな成果を上げているからといって、職が安泰とは限らない。私はさまざまな業種で大勢の企業幹部のコーチングを担当するなかで、成果を上げていた人が職を失った事例を、たくさん目の当たりにしてきた。

 この点にはデータの裏づけもある。ジャック・ゼンガーとジョセフ・フォークマンの研究によると、解雇された人の77%は、その前年に勤務評定で好ましい評価を受けていた。この研究では、解雇の判断にさまざまな要素が関係してくることを明らかにしている。

 あなたの職を危うくする要因は、さまざまだ。その中には、自分で対策を講じられる要因もあれば、自分では手の施しようがない要因もある。

 重要なのは、状況が悪い方向に進んでいるというシグナルを察知することだ。不意打ちを避けられれば、状況の変化にうまく対処できるかもしれない。せめて、解雇を言い渡される前に次の職を探し始められる。

 以下では、危険を感じ取るべき4つの兆候を紹介する。