前回デンバー空港の店に立ち寄ったときは、周囲の看板に感動して、ソーシャルメディアに写真を投稿してしまった。ある看板は「感謝しよう」とある。「情熱を注げ」「ここでの生活は最高だ」という看板もあった。

 靴磨きのプロセスは12段階。非常に手が込んでいるが、とてもテキパキしていて、少しばかりドラマチックな演出で終わる。小さなバーナーで靴の革を温めて、艶出し剤を染み込ませるのだ。

 靴磨きの担当者は、いつも興味深い質問を用意していて、いつも楽しい話をしてくれる。そのエンゲージメントは、間違いなく利用者の記憶に残るものだ。きわめつけは、料金が「あなたが適当と思う金額」であることだ。私が毎回、一般的な靴磨きよりも高い料金を喜んで支払っているのは言うまでもない。

 私は長年、エグゼクティブ・シャインは自分だけの小さな秘密だと思っていた。お気に入りの空港のバーや、混雑したターミナルを真っ先に抜け出せる出口など、出張族のちょっと変わった「特典」の一つだと思っていたのだ。

 ところが、そう思っていたのは私だけではなかった。出張族やビジネス・シンカーの間で、エグゼクティブ・シャインは大人気の場所になっていた。『フォーブズ』誌にエッセイを書いた経営コンサルタントもいる。地元紙『シャーロット・オブザーバー』は、利用者から聞いたいくつものエピソードを記事にまとめている。

 シャーロットに出張に来たビジネスマンが、スーツケース一杯に詰めた49足の靴をエグゼクティブ・シャインに預け、自分が仕事をしている間に磨いてもらったこともあるという。

 マイクロソフトに18年間勤めるロッド・ロスは、シャーロット空港で3店舗を切り盛りするゲトネット・マーシャの話にすっかり感銘を受け、マイクロソフトのITサービス部門幹部のミーティングに講師として招いた。エチオピア移民であるマーシャの話に、誰もが感動して涙したという。

 また、ロスが講演料を尋ねると、マーシャはいつものように「あなたが適当だと思う金額を」と答えた。それだけではない。マーシャは、自分が通う教会宛てに小切手を振り出してほしいと頼んだ。「愛と思いやり。それが私たちのやり方だ」と、

 マーシャは『シャーロット・オブザーバー』紙に語っている。「私たちは心を込めて仕事をする。お客さんは靴を磨いてもらうだけでなく、私たちと会話をするために立ち寄るのだから」

 ひょっとすると、私たちはマーシャの言葉と、エグゼクティブ・シャインの業績について、よく考えるべきときなのかもしれない。