裏の会話が不健全なレベルにまで組織にはびこっているかどうかは、次のことで判断できる。

・開発過程で、スピードや利益が過度に強調され、新しい提案の質や安全性について何も言えなくなっていたり、進捗状況に関する正式な会議で、新しい商品やサービスの肯定的側面だけが論じられたりしている。新しい提案がリスクや不確実性、問題をもたらすのは当然だ。それらが聞こえてこないときは、必ず立ち止まらなくてはならない。

・特定領域の専門家が会議でほとんど、あるいはまったく発言しない。もちろん、単に言うべきことがない場合もあるが、彼らの専門性とプロジェクトの新奇性を踏まえると、否定的なことは口に出せないと感じている可能性が高い。

・重要な問題に関する会議で、従業員が機械的にリーダーに賛成する。データや本質的な意見、熱意が欠けているのは、危険信号である。

「病んだ」企業文化(客室乗務員協会会長のサラ・ネルソンがボーイングの文化をこう呼んだ) を癒やすには、本質的な問題に関して裏の会話が交わされるのは企業の病理の源であると、全従業員が理解することが必要だ。

 それにはまず、率直さが期待され、歓迎されていると従業員が感じられる、心理的安全性のある文化を、経営幹部が形成することから始めなければならない。近著で詳しく説明したが、この文化は、リーダーによる3種類の継続的な行動を通して、じっくりと形成される。

 ●土台をつくる

 あらゆる新しい試みに伴う緊張や困難について率直になり、あなたがリスクや不確実性、複雑さを理解していることを、常日頃から伝えよう。企業が求める利益と、質と安全という絶対的価値の間にある緊張関係を、あなたが認識していることを全員にわかるようにすること。問題を先送りにすると、長期的にはより高くつくことを指摘しよう。

 ●意見を求める

 特定分野の専門家が会議で沈黙することを認めない。明確な意見を求めよう。相手が困るくらい質問して、考えを引き出すこと。あなた自身も、人々が見ていることや考えていることに興味を持ち、いつでも耳を傾けられるようにしよう。

 ●悪いニュースを伝える人を評価する

 悪いニュースや懸念に生産的に対応しよう。どれだけ勇気をふりしぼって発言したかを考えてほしい。焦点は解決策に当てること。アイデアを求め、提起された問題の解決に向けて自発的に協力してくれるメンバーを探す。

 多くの業界で不確実性とリスクが拡大しており、率直で挑戦的な会話ができる、健全な企業文化の構築は、かつてないほど重要になっている。いまこそ、裏の会話を表舞台へ戻すべきだ。


HBR.org原文:When Employees Are Open With Each Other, But Not Management, January 16, 2020.


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