大学院に行くべき理由

(1)報酬アップが見込める

 多くの場合、大学院卒者は、そうでない人たちよりも高い報酬を得ている。修士号を取得すると、それまでよりも報酬が平均25%アップすると言われるが、トップクラスのMBAなら60~150%アップも珍しくない。これに対して、たとえば社会福祉や美術館学の修士号の場合、報酬アップは10~15%程度とされる。

(2)キャリアチェンジができる

 人工知能(AI)と自動化技術により、職種そのものがなくなった例は多いし、再教育やスキルアップが必要な人は増える一方だ。もちろん長い社会人人生では、ほとんどの人がどこかの時点で、本格的なスキルアップをする必要があるのは間違いない。

 あなたがいま、本格的なスキルアップの必要性を感じているなら、大学院に進むのは悪い選択肢ではないかもしれない。より大きな問題は、何を専攻するかだろう。現時点で需要の高い職種を狙っているなら、大学院卒業時にはもう手遅れになっている恐れがある。たとえば現在、データサイエンスの分野は多くの求人があるが、これから大学院に進学する人全員がデータサイエンスを専攻したら、数年後には人員の供給過剰になるだろう。

 こうした事態を避けるためにも、将来どんな仕事に需要があるかリサーチすべきだ。この部分では、大学は実際に助けとなる可能性がある。仕事に必要な基本的スキル(ソフトスキル)とリンクした学位取得課程が増えているのだ。つまり、学生たちが卒業時に不透明な労働市場に対応できるよう、大学院が知識だけでなくソフトスキルも教え始めているのだ。

(3)自分の情熱を追求する

 お粗末な進路指導や、若いときの自己認識不足(つまり自分の関心やポテンシャルに気づいていなかった)のために、自分には合わない仕事に就いてしまう人は少なくない。すると、仕事へのエンゲージメントが低下し、パフォーマンスや生産性が低下し、燃え尽き症候群になったり、ストレスや孤立感が高まったりする。

 そこで、大学院に進むかどうか決めるとき、自分が情熱を感じられるどうかを考えるのは悪くない方法だ。勉強する内容が自分の価値観と一致していたほうが、よい成績をとりやすいし、勉強にも身が入りやすい。自分の好奇心や関心を勉学によってレベルアップすれば、その経験はほかの人との差別化要因となり、自分が愛する仕事に就ける可能性も高まる。ロボットとAIは、こうした人間の好奇心の働きを真似て、人間に比肩する自立的学習能力を身につけようとしている。