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誰もが羨むキャリアを歩んでいるような人でも、言いようのない不安で苦しんでいることがある。適度な不安は生産性の向上につながるが、過度なそれは仕事のパフォーマンスだけでなく、生活そのものを蝕んでいく。本稿では、何事もネガティブに捉えすぎる思考の罠を抜け出す、5つのヒントを紹介する。


 ズルフィは同僚の羨望の的だ。彼は私のコーチングのクライアントで、業績好調な大企業でゼネラルマネジャーを務め、経営戦略の中核となる仕事を束ねている。優秀で、チームのメンバーからも愛されている。

 しかし、彼には1つの秘密がある。不安に悩まされているのだ。夜も眠れず、健康に影響が出て、不安のコントロールに多大な時間とエネルギーを奪われている。顧客への重要なプレゼンテーションで落ち着き払っていたと称賛されるが、彼が抗不安薬を飲んでその会合を乗り切ったことを誰も知らない。

 ズルフィは毎日、2つの仕事をしている。職務記述書通りの業務と、もう1つは自分の不安のマネジメントだ。

 重大な判断を迫られる会議や、イライラしている上司、同僚との対立など、ときどき不安を経験するのは普通のことだ。しかし、米国立精神衛生研究所(NIMH)によると、1年間に米国の成人の19%が不安障害に悩んでおり、33%が生涯で少なくとも1回、不安障害を経験する。

 不安に陥ると、間違った考え方や限定的な考え方に縛られやすいと、メンタルヘルスの専門家は指摘する。そのような思考パターンは、私たちを消耗させるような負のスパイラルを生み、不運が差し迫っていると思い込ませ、無力感を増幅して、生活全般を支配しかねない。

 不安に苦しむ人々を支援するサイト、アンクシャエティ・カナダ(Anxiety Canada)は、そのような思考パターンの罠の例を挙げて、解説している。ここでは、シニアエグゼクティブを中心とする私のクライアントが特に多く経験している罠と、彼らの典型的な発言を見ていこう。

・惨事を誇張する:最悪の可能性を想像する。「次のプレゼンテーションで少しでもミスをしたら、私は解雇されるだろう」

・人の心を推測する:他人がどう思うかを想像する。「彼は私をバカだと思っているから、私と働きたくないのだ」

・未来を予測する:今後の展開を想像する。ただし、根拠はない。「新しいチームの中で物理学者でないのは私だけだから、みんな私を嫌がるだろう」

・白か黒かで考える:2つの可能性しか考えない。「ホームランを放つか、フライを打ち上げるか、どちらかだ」

・一般化しすぎる:あらゆる状況を一般的な結論でまとめようとする。「去年のCEOへのプレゼンはうまくいかなかった。私がエグゼクティブに説明すると、いつもうまくいかないか失敗する」

 これらの思考の罠に囚われたときは、以下のような対策がある。私が実際にコーチングのクライアントに助言しているものだ。私は心理学者や医療の専門家ではないが、コーチングの経験は豊富で、自分の振る舞いを修正し、考え方を変えて、仕事の効率を高める手助けをしている。

 以下の提案は、メンタルヘルスの専門家による適切な診断の代わりにはならない。それでも、ネガティブな思考パターンを打ち破り、自分の不安をコントロールする力をつけて、毎日の仕事の中で本当に重要な言葉に耳を傾けるうえで役立つだろう。