パーパスがあればこそ、LEAPが可能となる

 そして今後のエグゼクティブは、組織のパーパスを何より考えていく必要があるでしょう。収益性向上などの欲望からLEAPを目指す企業もあるかもしれませんが、実際には、LEAPを実現できるようなレジリエンスのある組織を見ると、パーパス(目的意識)に牽引されています。

 その理由はシンプルです。私たち人間には外的動機付けと内的動機付けがあり、戦略のど真ん中にパーパスを置いてLEAPを実現していくことは、個人にとっても、チームや組織全体にとっても、エネルギーとなるからです。資源分配が金融市場の干渉によって間違った方向にいかないよう戦っていくためにも、短期主義に陥らないためにも、最も有効な手立てはパーパスを意識することだと思います。

 これは理想主義的な話ではありません。たとえば、昨年テスラが生産した車の数は30万台、一方のGMは約900万台でした。しかし、テスラが計画通りに生産できる能力を見せつけた瞬間にGMの時価総額を越え、米国最大の自動車メーカーとなりました。いまや市場もパーパス主導の企業を信じるようになったわけです。

 ESGもそうですが、機関投資家が投資の基準を変えてきています。自社株買いや短期利益、配当金よりも、パーパスを持つ会社を評価し、さまざまな実験に寛容さを見せるようになりました。企業の目的は株主価値の最大化、あるいは財務的な利益に対するリターンだといった常識が崩れつつあるのです。ユーザーアダプションなり、技術の成熟性なり、パーパスを通じて自分たちが進歩しているということを、外の市場に対してきちんと示すことができれば、利益が多少低くとも金融市場は寛容になっています。

 AI時代の到来と、資本主義の端境期、この2つは密接につながっています。コミュニティが簡単に生まれる時代には、消費者行動も一瞬にして変わります。たとえば米国では、プラスチック製のストローは、ほぼ一夜にしてなくなったわけです。これもまた、パーパスがLEAPにつながることの証左だと思います。

 再生可能な包装、エネルギー、タバコのない世界、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、こういったものすべてが、新しい知の基盤を必要とします。個人にとっても、組織にとっても、知の基盤にこそ大きな投資が求められるのです。
(了)


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