●脳にこびりつかないよう訓練する

 反芻していると気づいたら、ただちに数分間、気を逸らそう。短時間で没頭できて、ことさら難易度の高くない活動をするのだ。たとえば10分間、経費精算書に記入するのもいいだろう。集中力を要する活動を選ぶといい。場合によっては、自分がいまやっているはずの活動に、もう一度集中するだけでもいい。

「そんな単純なことで、私の複雑な精神的問題に効き目があるだろうか」と思うかもしれない。だが、このテクニックはびっくりするほど効果がある。 

 ジョギングやウォーキングのような運動も、反芻に陥りがちな心を鎮めることができる。瞑想やヨガは、脳に粘着しそうな思いから自分を守り、深入りしないようにするのに、特に効果がある。瞑想やヨガでは、心が過去や未来にさまよい出ようとするのを察知して、いま起きていること(呼吸、他の身体感覚、周囲の環境など)に戻す訓練をする。これこそ、反芻の瞬間に対処するために必要なスキルだ。

 ●思考の誤りをチェックする

 認知の誤りが反芻の引き金になることもある。反芻は思考を曇らせるため、反芻している最中は、思考の歪みに気づきにくいというジレンマがある。その解決策として、冷静なときに時間をかけて、自分の典型的な思考の誤りを把握しておくことだ。そうすれば感情がたかぶったときでも、それに気づくことができる。

 私自身の例を挙げると、私は仕事関連のメールを読むとき、1つか2つの文章に注目していら立ったり動揺したりして、メッセージの全体的なトーンを不当な要求や拒否だと読み違えてしまうことが多々ある。しかし、このパターンを自覚しているので、第一印象では反芻しないようにしている。その代わり、1日、間を置いて、冷静になってからメールをもう一度読む。するとたいてい、歪んだ印象を持っていたことに気づくのだ。

 その他のよくある認知の誤りとしては、自分への期待を高く設定しすぎる、他人のあなたに対する期待を誤解している、他の優秀な人たちもあなたと同じ問題に苦労していることを過小評価している、ささいなことを大げさにとらえる、などがある。

 もしあなたが誰かの行動を反芻していて、あることがその原因だと思い当たったときは少なくとも、自分の解釈が間違っている可能性があることを心に留め、けっして知り得ない真実もあることを受け入れよう。他人の行動の理由は完全には理解できないものだと認めることは、反芻を減らすのに、きわめて大切なスキルだ。

 反芻は、広く蔓延する問題である。そこから抜け出すには、自分が反芻していることに気づき、抵抗する方略をいつでも使えるようにしておく必要がある。

 それには時間と労力を要する。だが、あなたの精神的健康と生産性のために、つぼみのうちに摘んでおくことが大切だ。「だったはず、すべきだった、できたはず」のスパイラルに深くひきずりこまれないうちに、本稿で紹介したアイデアを1つか2つ、試してほしい。


HBR.org原文:How to Stop Obsessing Over Your Mistakes, February 25, 2019.

アリス・ボーイズ(Alice Boyes)
博士。臨床心理士から作家に転身した。著書にThe Healthy Mind ToolkitThe Anxiety Toolkit(ともに未訳)がある。


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