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プレゼンを成功させる人の共通点とは何か。登壇した瞬間に聴衆の視線を集めるようなカリスマ性だと思われるかもしれないが、そうではない。むしろ、聞き手の関心が発表者に集中してしまうことで、スピーチの内容が頭に入ってこないという弊害がある。筆者は、「プレゼンス」こそ重要だと指摘する。本稿では、聴衆に価値ある情報を提供するために欠かせない、プレゼンスを育む6つのステップを紹介する。


 私は先頃、ある新任CEOの相談に乗ったことがある。そのCEOは社員の前でスピーチをする予定になっていたが、自分の「カリスマ性のなさ」を気に病んでいた。エンジニアとして専門的な訓練を受けた人物で、内向的な性格の持ち主だったため、大勢の前で話をするのが苦手だったのだ。

 この人物がCEOに選ばれた理由の一つは、聞き上手と評価されていたことにあった。そこで、私はその人物を手伝い、スピーチに「聞くこと」の要素を取り入れる練習をした。すると、彼はすぐに気づいた。自分がスピーカーとして持っている最大の強みは、聴衆を魅了する能力ではなく、聴衆のニーズに注意を払う能力なのだ、と。

 このCEOのスピーチを聞いた社員たちは、やる気が湧いてきて、会社のトップに「理解してもらえている」と感じることができた。この人物は、カリスマ性こそ持っていなかったかもしれないが、それよりはるかに重要な資質を持っていたのである。その資質とは「プレゼンス」だ。

 私の顧客には、このCEOと同じような自信喪失に陥っている人が少なくない。自分はカリスマ性がないので、どうあがいてもスピーチの達人にはなれないと決めつけているのだ。技術畑の人は、特にこの傾向が強い。自分の「無味乾燥な」スピーチに耳を傾けたり、話の内容を覚えていたりする人なんて、ろくにいないと思ってしまう。

 しかし、それはとんだ思い違いだ。スピーカーにとって本当に必要なのは、カリスマ性ではなく、プレゼンスである。プレゼンスは、誰でも獲得できる。それは、一見すると「無味乾燥」な技術畑の人たちにも可能だ。