文化のリスクを回避するステップ

 あらゆるリスクマネジメントと同じように、組織の文化を重んじることは時間と努力を要する。私たちは、企業が世間の注目を浴びた危機やスキャンダルに対応する手助けをしてきた経験から、文化に警戒する力を身につけるために5つのステップを考えた。

(1)経営陣が率先して取り組む姿勢を明確にする

 どのような変化も、成功の最大の要因は、経営陣が積極的かつ明示的な支援をすることだ。これについては、さまざまな研究が実証している。まずは取締役会とCEOが、文化への警戒を怠らない姿勢にビジネス的な価値があることを理解していて、その責任を喜んで引きけることを明確に示そう。

(2)文化の番人チームを置く

 基本的なメンバーは、コミュニケーション、法務、人事、ダイバーシティ・アンド・インクルージョン、リスクマネジメントのそれぞれの責任者と、組織のさまざまな分野とレベルの代表者などだ。このチームはCEOに対して説明責任を負い、CEOは取締役会で説明責任を負う。文化の問題を人事部門だけに任せてはいけない。

(3)行動基準を定義(あるいは再定義)する

 企業の価値観がある場合、従業員がそれをどのくらい理解して実践しているかを評価する。すでにある価値観を変えたり、見直したり、撤廃することを恐れてはいけない(ただし、企業の存在の核となる価値観は持続する)。

 価値観が定まっていなければ、インクルージブなアプローチで定義しよう。経営陣が促進したい内容だけでなく、実現しようとしているビジネス戦略も支援する価値観にすること。

(4)継続的な戦略を立てて実行する

 文化の番人チームとともに、文化を監督する方法を決める。定期的に実行できる診断方法や、問題がわかったらすぐに行動を起こせるような検証プロセスを導入する。社内の推進者や、顧客など社外の助言機関に、文化のリスクを見極めて解決策を考えてもらうこともできる。判明した問題に対応して振る舞いを改善するために、コミュニケーションツールや、研修やインセンティブ制度を利用しよう。

(5)経営戦略の発展と年間計画の立案のプロセスに文化を組み入れる

 経営者は、基本方針を無視して経営戦略を立案し、組織の規範が自分たちの目標を支援するのか、それとも障害になるのかを考慮しない場合があまりに多い。戦略と文化は折に触れて評価しなければならず、互いに協調しながら、強固な業績を牽引すべきだ。

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 現代の企業はかつてないほどに、自分たちが表明した価値観と働き方を体現するだけでなく、不安定なビジネス環境に耐えうる文化を築いて、維持しなければならない。文化のリスクに敏感になることによって、組織の文化の弱さをさらけ出しながら、リスクが起きる前に予防する行動を取ることができる。


HBR.org原文:6 Signs Your Corporate Culture Is a Liability, December 05, 2019.

サラ・クレイトン(Sarah Clayton)
ユナイテッド・マインドのエグゼクティブ・バイスプレジデント。CEOをはじめ経営幹部が組織のパフォーマンスを向上する改革を立案・実行する支援をしている。経営上の目的にかなう企業文化の改革に詳しい。経営管理プログラムの徹底的な改革の専門家として、15年以上にわたり、M&Aや企業再建、経営陣の交代、組織全体のIT導入などの助言をしている。


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