適切な問いを部下に投げかける

 燃え尽き対策にリソースを投じるなら、まずは規模を限定して、試験的な取り組みを実行するとよい。あまり予算をつぎ込まずに、リスクの小さい活動から始めるのだ。

 具体的には、1つか2つの部署やチームのメンバーに、「これだけの予算を使えるとして、最優先の使い道は何か?」というシンプルな問いを投げかけるといい。メンバーに無記名投票をさせ、その結果をみんなに伝える。そして、投票で候補に挙がった使途を一つひとつ検討していく。

 メンバーが完璧なアイデアを持っているとは限らないが、どのようなアイデアがうまくいかないかはきっと教えてくれる。多くの場合、それは最も有益な情報だ。

 大規模な試験プロジェクトを実施したい場合に有効な戦術もある。

 たとえば、毎年恒例のイベントについて社員の意識調査を行う。クリスマスパーティーやピクニックは楽しいか。どのイベントを続けたいか。どのイベントを変更したいか。その予算を使って行いたいことが、ほかにないか。こうしたことを尋ねる。デジタルツールを活用すれば、(質問項目がシンプルな場合はとりわけ)こうした調査を実行しやすい。

 この戦術が成功するかどうかは、データをどのように用いるかに大きく影響される。意識調査を行う場合は、集まったデータを放置してはならない。社員がだんだんうんざりしてきて、回答しなくなったり、まじめに答えなくなったりする。

 電子的手段でアンケートを発するのが不適切に思える場合は、職場内を歩き回ってみよう。最も優れたデータ収集の手段は、リーダーが歩き回ることの場合もある。いわゆる「ぶらぶら歩くことによるマネジメント(MBWA:Management By Walking Around)」である。

 マスラークが目の当たりにした病院トップの中には、実際に院内を歩いてみて初めて、スタッフが何かの備品類を欲しがる理由が納得できた人もいた。

 たとえば、プリンターがいつも故障していたり、メンテナンスが不十分だったりする。そのせいで、患者のために文書を印刷するたびに、誰かを呼んできて修理してもらうなり、故障していないプリンターのある場所まで走っていくなりしなくてはならない。こうした状況をリーダーが自分の目で見れば、スタッフのニーズを無視できなくなる。

 この種の問題は解決できる。燃え尽き症候群は予防できるのだ。そのために必要なのは、職場の衛生要因を良好に保ち、正確なデータを集め、適切なタイミングで意味のある問いを投げかけ、賢く(そしてよりきめ細かく)予算を使うことである。

 社員の幸福感を高めるための一手段として、ウェルネス・プログラムも継続しよう。ヨガやレジリエンスやマインドフルネスのレッスンは、精神の健康を維持し、ストレスをマネジメントするうえできわめて有効な方法だ。

 しかし、忘れてはならない。燃え尽き対策は、社員ではなく、あくまでもリーダーの役割である。


HBR.org原文:Burnout Is About Your Workplace, Not Your People, December 11, 2019.

ジェニファー・モス(Jennifer Moss)
職場に関する専門家。各国で講演を行っている。ベストセラーUnlocking Happiness at Work(未訳)などの著書で受賞経験もある。国連の専門家グループ「世界幸福度カウンシル」委員を務める。


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