最初のステップは、認識することだ。

 自覚のない習慣は変えようがない。習慣は何かのきっかけがあって始まるので、どのぐらいの頻度に、どういう理由で注意が削がれるのかを観察しよう。区切りがついたわけでもないのに別のことを始めてしまったら、その都度、紙にメモする。何が原因で気が散ったかを考え、それも書き留める。

 何がきっかけになるかを認識したら、克服する方法も見つけられる。

 たとえば、何かに集中しようとしているときに、中断されないためには具体的に何ができるか、もし中断されたら具体的に何と言えばいいかを自問し、ほかの人にも聞く。またスマホに手を伸ばさないようにするために、何をすればいいかを考える。そうしたアイデアを書き出し、実際に試す機会を見つけ、効果があったかどうか、記録をつける。やがて、あなた特有の状況に効果があるものとないものがわかってくるだろう。

 気が散る習慣を断つ3つ目の方法は、「活性化エネルギー」の原理にある。アテンション・マネジメントをともなう生産的な習慣を、より簡単に行えるようにしよう。

 たとえば、難しそうで熟慮を要する重要な仕事に着手するときは、その仕事を細分化して具体化する。やることリストには「論文を執筆する」ではなく、「論文の要点を4つ書き出す」と書こう。「レポートを分析する」ではなく「レポートの最初のセクションの要旨を明らかにする」と書く。

 簡単ですぐにできそうな感じがすれば、手を着けやすくなる。どんなことでも、簡単ですぐにできそうな感じに変換することが大切だ。一番難しいのは、着手することなのだ。

 活性化エネルギーとごく自然につながるのが、私が「摩擦」と呼ぶ原理だ(幸福について研究するショーン・エイカーは、この原理を「20秒ルール」と呼ぶ。)これも、すぐに使えるツールだ。

 たとえば毎晩、家でスマホのメールを延々とチェックしているとしよう。それは本当にメールを読みたいからではなく、単にオフィスで1日中、メールをチェックすることに「慣れて」いる、つまり習慣になっているためかもしれない。それならば、職場を出るとき、その習慣はオフィスに置いていくと心に決め、それをサポートする「摩擦」の仕掛けをつくっておこう。

 スマホのアカウント設定にアクセスし、メールアカウントを「オン」から「オフ」にする。すると、もし衝動的にメールのアプリをタップしてしまっても、何もない画面が出るだけだ。設定を戻してメールを見るには、余分な数秒が必要になる。その間に、あなたは自分の計画を思い出し、衝動を止めることができる。

 しょっちゅう気が散ると、とても疲れるし、いつも忙しいのに何も達成していないような気がする。しかもそれは習慣になるので、ほかの誰かに注意を削がれなくても、自分自身で気を散らしてしまう。バーンアウトを防ぐためには、問題を認識し、克服するプランを立てる必要がある。そうすれば、熟慮を要する重要な仕事を成し遂げ、あなたの才能を世界に解き放つことができるだろう。


HBR.org原文:How to Overcome Your (Checks Email) Distraction Habit, December 04, 2019.

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モーラ・トーマス(Maura Thomas)
受賞経験のある国際的な講演家。個人および法人向けに、生産性向上とアテンション・マネジメント、ワーク・ライフ・バランスについて研修を行う。TEDxのスピーカーであり、RegainYourTimeの創設者でもある。著書にPersonal Productivity SecretsWork Without WallsAttention Management(いずれも未訳)がある。多くのビジネス誌やイベントに登場し、『Inc.』誌では2018年トップ・リーダーシップ・スピーカーの一人に選ばれた。ツイッター(@mnthomas)で発信中。最新記事の通知を希望する場合は、こちらへ