ケイデンスを築くためのヒント

 結局のところ、バーチャルに仕事をしながら職場に友人をつくりたい人は、チャンスを見つけて自発的に動く必要がある。

 私たちのように、ケイデンスを学術的に分析しようとするのはお勧めしないが、信頼できる仕事上のパートナーとして、離れた場所にいる同僚にタイムリーに対応することが、ケイデンスを育てることに役立ち、それがまず基礎となる。その後、友人になれそうだと感じたら、思い切った行動に出よう。少し個人的な話や面白い話をする。私たちの経験では、こうした小さな働きかけが豊かな友情を育むきっかけになっている。

 マネジャーの立場にある人は、従業員同士が互いのことを知り合える場を用意しよう。たとえば、チームの定例の電話・テレビ会議で、最初に必ずメンバー同士が互いのことを理解するための時間を設ける。

 インタビューしたマネジャーの一人は、前の週にメンバーそれぞれが聴き込んだ歌を発表する「ソング・オブ・ザ・ウィーク」を実施した。また、チーム会議で自分について話す「アバウト・ミー」プレゼンテーションをさせているマネジャーもいた。チームによる電話会議を主催する場合、会議開始前と終了後の10分間は回線をつないだままにして、希望するメンバー同士が自由におしゃべりできるようにしておくのもよいだろう。

 マネジャーとして、従業員同士が直接顔を合わせる機会をつくり、そうした機会を最大限に活用させるようにもしたい。

 たとえば、従業員が他の拠点に出張する際には、そこにいる同僚に連絡を入れさせる。インタビューしたマネジャーの一人は、従業員が他の拠点へ出張するときには必ず、「オフィスアワー」を設けるようにさせた。その方法が関係構築をするうえで、とても効果的な習慣になっているという。

 顔を突き合わせる会議では、必ず始めのほうに、親睦を深めることを何か計画しておく。なぜなら、久しぶりの再会はぎこちないものだからだ。ぎこちなさが解消した会議の後半では、自由な親睦の機会を設けるとよい。

 ケイデンスの構築は大変なことのように思えるかもしれないが、バーチャルな従業員は組織からも他の従業員からも隔離されているように感じやすいため、きわめて重要である。つながりをより強く感じ、従業員間の親しい関係を育む助けになる。

 もっと一般的にいえば、ケイデンスの構築方法を知ることは、社会的ウェルビーイングにも不可欠だ。ビベック・マーシー元米国公衆衛生局長官が言及しているように、こうした仕事のあり方の変化は、現代病である「孤独病」を蔓延させている一番の要因なのである。


HBR.org原文:How Remote Workers Make Work Friends, November 22, 2019.

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ベス・シノフ(Beth Schinoff)
ボストン・カレッジのキャロル・スクール・オブ・マネジメント助教授。経営学と組織論を担当。

ブレイク E. アシュフォース(Blake E. Ashforth)
アリゾナ州立大学W. P. キャリー・スクール・オブ・ビジネスのホレス・スティール・アリゾナ・ヘリテージ・チェア。

ケビン・コーリー(Kevin Corley)
アリゾナ州立大学W. P. キャリー・スクール・オブ・ビジネスのマネジメント・アンド・アントレプレナーシップ学部長。