これを調査するために、私たちはグローバルIT企業「クラウドリー(仮名)」の中西部ディビジョンを1年半にわたり調査した。64人に対して114回(一部の従業員に3回以上)のインタビューを実施した。インタビューの相手は、遠隔勤務(リモートワーク)が勤務時間の半分以上を占める従業員で、75~100%を占める従業員も多かった。さらに、クラウドリーの従業員がたまたま顔を合わせたとき、どのようなやり取りが交わされているかについて、75時間以上かけて観察した。

 調査を通じて、遠隔勤務者は、バーチャルで仕事をしていることが同僚と親しくなる際の障壁だと感じていることがわかった。この壁を乗り越えるためには、あるものを築くことを必要としている。私たちはそれを「ケイデンス(cadence:歩調)」と名づけた。

 相手がどんな人で、どのように付き合えばよいかがわかると、相手とケイデンスが築けた(相互の接触パターンの一致)と感じる。これにより、バーチャルな同僚といつ接触し、接触の結果どうなるかが予想しやすくなるので、バーチャルで仕事をする人には特に重要である。対面のコミュニケーションならば、はるかにたやすく予想できることだからだ。ケイデンスのない同僚には連絡しにくかったり、連絡を取っても、そのやり取りにフラストレーションを感じたりする。

 では、私たちが調査した従業員は、具体的にどのようにしてケイデンスを築き、最終的に仲良くなれたのだろうか。従業員たちはまず、相手と「仕事上」のケイデンスを築けるかどうか、今後どのように付き合うべきかについて、以下のような項目で評価していた。

・連絡すると、想定時間内にレスポンスをくれるか?
・自分が仕事をするうえで、頼りにできるようなスキルを持っているか?
・その相手と一緒に仕事をしたり、コミュニケーションを取ったりするのは好きか?

 上記の答えが一つでも「ノー」の従業員は、仕事で必要なときにしか、その相手と連絡を取っていなかった。答えがすべて「イエス」の従業員は、相手をリンクトインで検索して顔写真や経歴を確認したり、相手と接点のある人からもっと情報(その人の仕事のやり方や、どのようなコミュニケーション方法を好むかなど)を得たりするなど、相手との関係を深めるための手順を踏んでいた。

 仕事上のケイデンスによって敷かれた基礎が、自然に「友人として」のケイデンスに発展した従業員もいた。だが、身近にいるからといって必ずしも親しい間柄になるとは限らないように、私たちの調査でも、友人としてのケイデンスを別なものとして評価する従業員が多かった。

・相手と馬が合うか?
・その相手には、友人をつくる時間があるか?
・その同僚と友人になると、仕事に支障が出ないか?

 クラウドリーの従業員は、同僚と友人としてのケイデンスを築けると感じた場合、友人関係を始めるための行動に出ていた。たとえば、フェイスブックでつながったり、相手が病気になるか病気と診断されたときにサポートを申し出たり、週末の計画を伝え合ったりするなど、仕事以外の理由で相手とつながる努力をしていた。