価格を下げたくなる誘惑に抵抗する

 人間関係を確立したとしても、必ずしもビジネスを獲得できるとは限らない。ビジネスの条件は依然として重要である。

 ビジネスパートナーになることを目指しているとき、大企業ならば大幅に値引きして、競争相手よりも安値で売り込むこともできる。大企業は規模の大きさで損失を吸収し、時間をかけて回収することが可能だからだ。ビジネス獲得のために割引を提案するフリーランスは少なくないが、大企業ほど容易に持ちこたえられない。

 自分の標準単価を1時間50ドルに決めたとしよう。クライアントを引きつけたり情熱を持てるプロジェクトを獲得したりするためなら、1時間40ドルまたはそれ以下に値下げしてもよいと考えるかもしれない。だが、そうすることは、自分の仕事の価値は低いというメッセージを送ることにもつながる。

 加えて、特にアップワークのようなオンラインのフリーランス用フォーラムで、潜在的なクライアントが過去の単価を知った場合、あとから本来の単価に戻すのは不可能とは言わないまでも、相当難しくなる。その間に、経験を積んできたとしても、である。

 単価を下げる代わりに、私はプロジェクト単位の固定価格で請け負うことを勧めている。そうすれば、1時間当たりの単価を変えずに、個別のプロジェクトとクライアントに即した規模と成果物を決めることができる。また、同じような規模の仕事に関する将来の交渉を、うまくまとめる位置に立てる。

 クライアントも固定価格のプロジェクトを好む傾向にある。というのも、価格と仕事の範囲が事前に明確になるからだ。

 たとえフリーランスが想定以上の時間を費やすことになっても、追加料金を払うリスクなしで一連の成果物を受け取れることが、クライアントには保証されている。満足できる最終成果物に至るまでには何度も修正が必要になる、とクライアントが懸念や不安を抱いている場合は、特に有効である(もちろんこの場合、時間超過になるリスクをフリーランスが背負うこともなる)。

 単価を下げないための最終手段として挙げられるのは、標準単価でより多くのことをやると申し出ることだ。かえって悪い条件だと思うかもしれないが、すでにやっている仕事に対して別の支払い方法を見つけるという、実に単純なことである。

 たとえば、あなたが仕事をする際にしばしば二次データを調査するのであれば、そのようにして集めた情報を簡単にまとめて文書にすることで、クライアントに付加価値として提供できる。あなたは割引をせずに済むし、クライアントは同じ金額でより多くのものを得られる。

 固定価格にしようとしまいと、割引したい、あるいは割引しなければならない状況が生じることもあるだろう。しかし、そうなることを最小限に抑えて一貫性を保つために、あらかじめ自分の基準を設定しておこう。

 さらに、他のプロジェクトでは標準価格に戻せるように、割引は深い理由がある案件だけに限定しよう。よくある例としては、紹介(新しいビジネスを紹介してくれたクライアントに割引をする)、場所や近さ(地元のクライアントならば出張費は不要)、初回限定の割引などがある。