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ギグエコノミーの発展に伴い、フリーランスの人口が急速に増加している。組織に縛られず自律的に働けるというメリットがある一方、自分の力で仕事を獲得するのは容易ではない。あなたの時間を安売りせず、適正な価格で仕事を請け負うには、どうすればよいのか。筆者は、そのために有効な3つの方法を具体的に提示する。


 現在、米国人労働者の3人に1人がフリーランスとして働いている。1億6000万人の労働力人口のうちの約5700万人に当たり、2014年から400万人(13%)増加した。

 フリーランスは特定分野の専門家であると同時に、ビジネスマネジャーでもある。つまり、自分自身をブランド化し、みずからが提供するサービスのマーケティングを行い、財務を管理し、潜在的なクライアントと交渉する。

この手の交渉は、個人事業主には難しいかもしれない。しかし、うまく交渉できなければ潜在的な収益を逃し、自分のポートフォリオを拡充するのに時間がかかり、良好な関係にあるクライアントからの紹介で舞い込むかもしれない、好機を逃すおそれもある。

 私は企業や個人事業主に交渉術をアドバイスする仕事を25年やってきて、フリーランスがクライアントと仕事をする際、頻繁に陥る落とし穴が3つあることがわかった。

 第1に、良好な人間関係を築くよりもビジネスに徹しようとすること、第2に、価格を下げることで競合相手と差別化しようとすること、第3に、ふさわしくないクライアントとの交渉に無駄な時間を費やしてしまうことだ。これらについて、一つずつ見てみよう。

個人的に良好な関係を築こう

 人間関係や真のつながりから、ビジネスは生まれる。人はよく知る相手とビジネスをする。すなわち、親しさが、内の化学的・生理学的レベルで信頼の基礎となっている。

 この原則が、フリーランスには特に重要である。フリーランスにとって、信用や信頼はビジネスをやるうえで欠かせないものだからだ。

 大企業間の交渉では、経営陣や株主のニーズが優先され、人間関係をもとにビジネスを進めることはできないかもしれない。しかしフリーランスの場合、あなたが代表しているのは、あなた自身だ。クライアントとあなたの人間関係は、あなた自身のビジネスである。

 クライアントになるかもしれない相手と最初に話を交わしたときから正式に仕事を請け負う瞬間まで、交渉の成否は相手があなたに投資し、関係を築こうと決断するか否かにかかっている。

 したがってフリーランスであるあなたは、交渉に入るとき、自分自身のブランドと価値を反映した人間関係を構築すべきだ。そのためには、自分のストーリーを語り、ユニークな経験や能力について話し、相手と繋がる共通点を探すとよい。

 自分のストーリーを語るための簡単な秘訣は、次の通りである。

(1)自分が信じるものは何か

 まず、自分の情熱に根差し、自分の仕事に対するアプローチを裏づけるような信念を語ろう。たとえば、PR活動を専門とするフリーランスであれば、こんなふうに始めることができる。「私にとってPRとは、訴求対象の人々を理解し、その人たちによいストーリーを届けることです」

(2)どんな経験を経て、いまの自分がいるのか

 続いて、自分がどのようにして現在に至り、なぜ自分が仕事を請け負うのに適しているかを、相手に理解してもらおう。「ペンシルバニア州立大学で調査報道を学んだ際、まず地元の報道機関や学内の学生組織でインタビュー術を磨きました。そして社会人になってからの直近の10年間には、業界のリーダーたちやベライゾンやバンク・オブ・アメリカといったフォーチュン500企業と仕事をしました」

(3)それが現在の仕事に、どうつながってくるのか

 最後に、自分の話で終えるのではなく、相手につなげよう。「あなたのストーリーは多くの人々に届けるべきもので、『タイム』誌のような出版物に掲載されれば大きなインパクトを与えることが、目に見えるようです」

 売り込み先の相手が誰であれ、あなたのストーリーの大筋、とりわけ信念については変える必要はない。ただし、ストーリーがいつも完全に同じであってはいけない。獲得しようとしているプロジェクト、そのプロジェクトに関わる組織、交渉相手に合わせて、ふさわしい情報を織り込もう。それが、共通の基盤を確立する機会になるからだ。

 この際に使える情報を見つけるには、雑談の細部に注意を払い、自分の世界と相手の世界との接点を探し出すとよい。そこから、話が自然と発展するようにしよう。2人とも救助犬が大好き?それとも同じ野球チームのファン?そのような短い脱線が親密な関係を構築し、より密度の濃い話に導いてくれる。

 たとえば、相手が苦心していること、ストレスの源、それに願望などである。「私たちはとても似ていますね。あなたのゴールは私のゴールです。同じ夢を追っていますね」と言える機会を探そう。