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仕事のストレスは健康に悪影響をもたらすだけでなく、従業員の燃え尽き症候群(バーンアウト)を誘発し、会社に重大な損失をもたらす可能性がある。ウェルネス・プログラムによる問題解決を図る企業も増えてきたが、その取り組みは効果を発揮しないことがほとんどだ。燃え尽き症候群を防ぐ本質的な解決策は、職場のストレスを軽減し、従業員エンゲージメントを高めることだと筆者は主張する。本稿では、そのための具体的な方法を示す。


 過度のストレスが健康に悪いことは誰もが知っているが、仕事のパフォーマンスへの悪影響はあまり語られていない。

しかし、ストレスは、退職率を3倍近く上昇させ、戦略的思考を阻害し、創造の能力を減退させる。ストレスによる燃え尽き症候群(バーンアウト)は、損益を脅かしかねないのだ。米国では、欠勤・離職と新しい人材の採用、生産性の低下、医療や法務や保険関連の出費など、燃え尽きによる経済損失が年間3000億ドルを上回る

 この点を認識する企業が増えるにつれて、職場のウェルネス向上に関わるビジネスが盛況になっている。だが、問題を解決するには、職場にジムや昼寝用の部屋を設けるなど、福利厚生制度によって個人レベルの快適性を高めるだけでは十分でない。

 ウェルネス・プログラムを実施すれば1~2年程度で医療費支出と欠勤数が減ると期待されている場合が多いが、最近の研究によると、その期待はたいてい裏切られる。この種のプログラムが一般に思われているほど有効でないと示唆する研究結果は、このほかにも続々と報告されている。

 個人レベルのウェルネス・プログラムよりも重要なのは、職場のストレスをやわらげるための組織レベルのアプローチだ。具体的には、社員の幸福感を高めると同時に、ビジネスのパフォーマンスも高める方策を講じる必要がある。

 現実離れした話だと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。臨床心理士とリーダーシップ・コンサルタントとして10年以上活動してきた経験から言うと、燃え尽き症候群を予防するには、職場のストレスを減らし、従業員エンゲージメントを高めることが不可欠である。