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医療AIの診断力は向上しており、その精度は人間の医師と同等、あるいはそれ以上というケースも少なくない。にもかかわらず、患者の多くはAIによる診断を敬遠しがちだ。なぜだろうか。筆者らがさまざまな観点から調査を行った結果、自分は他人とは異なるユニークな存在であると考えている人ほど、AIによる診療に抵抗感を示すことが判明した。


 最近の我々の研究によると、人間の医師より優秀な場合でも、医療AI(人工知能)による医療を患者は敬遠する。なぜか。自分に必要な医療ケアは他人とは違うので、アルゴリズムには適切に対処できないと患者が信じているからである。医療AIがもたらしうる多くの利点とコスト低減を実現するために、医療従事者は患者の懸念を払拭する必要がある。

 医療AIは専門家に比肩する精度で、費用対効果の高い診療を大量にこなすことができる。

 IBMの「ワトソン」は心臓専門医よりも正確に心臓病を診断する。英国の国民保健サービス(NHS)では、「チャットボット」が看護師の代わりに医療アドバイスを提供している。最近のスマートフォンアプリは、専門家並みの精度で皮膚がんを発見できる。目の病気も、アルゴリズムが専門医と同等の正確さで診断できる。

 AIが90%の病院に普及し、現在医師が行っていることの80%を代行するようになるとの予想もある。しかしその実現のためには、AIに対する患者の不信感を医療提供側が払拭しなければならない。

 我々はニューヨーク大学の同僚であるアンドレア・ボネッツィとともに、患者による医療AI受容度を調査する一連の実験を行った。これらの実験の結果(論文は最近刊の『ジャーナル・オブ・コンシューマー・リサーチ』誌に掲載)から、皮膚がんのスクリーニングからペースメーカー移植手術に至る幅広い医療処置において、患者はAIへ強い抵抗感を抱いていることがわかった。