ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。ジョン・カッツェンバック氏らによる『最高の企業文化を育む「少数」の法則』を紹介する。

変革の目的に沿って
企業文化を活用する

 主著者のジョン・カッツェンバック氏は、世界最大級のプロフェッショナルサービスファームのプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の戦略コンサルティング部門Strategy&に属するカッツェンバック・センターの創始者である。

 Strategy&は、前身企業から通算すると100年以上にわたり、企業の戦略策定から実行、企業変革などを支援するコンサルティングを行ってきた。その中で、カッツェンバック氏は、約50年にわたるキャリアにおいて、企業文化とその進化、企業変革などについて取り組んできた。その1つの集大成が本書である。

 原書タイトルはThe Critical few。これは、企業の変革をもたらすために、戦略的に的を絞って選択された少数の「社員の感情に訴える形質」「重要な行動」「真の非公式リーダー」を中心とする要素を意味する。

 これらの少数で重要な要素を引き出し、活用することが、企業文化を進化させるために不可欠であると、著者は長年の研究と経験から考えるのである。

 どのような企業にも独自の文化があるが、それを根本から作り直すのは極めて難しいから、既存の文化の良いところを生かして、変革の目的に沿った形で、的を絞って再構築するべきだ、と著者は主張する。

 企業文化を活用した変革の方法を、読者にわかりやすく伝えるため、架空の小売企業での変革を設定して、論を展開していく。同社のCEOに新たに就任した主人公が、従業員に働きかけながら、変革していく話になっている。

 主人公が同社の課題を探る段階から、変革が軌道に乗って成果が出るまで、いくつかの難題を突き破る要所で、著者カッツ氏が登場して、指南していく。設定状況は、著者が実際のコンサルティングの現場で遭遇し、問題解決してきた案件を凝縮したもので、リアリティがある。

 主人公CEOの悩みの打ち明けを、読者は相槌を打ちながら読むことになるだろう。そして、カッツ氏の助言は、読者自身の抱える課題の解決にとって大いに参考になるはずだ。