ドクターマーチンは米国でダイナミックプライシングを実現

 セミナーの最後では日立ソリューションズの林由紀雄氏が登壇し、Dynamics 365の導入事例を紹介した。日立ソリューションズは、海外子会社を含めて約1800人のDynamics 365技術者を抱えており、これまで国内外の750社を超える企業に対してDynamics 365の導入支援を行ってきた実績がある。

 ここでは、林氏が挙げた事例のうち、Dynamics 365とAI機能のAzure Cognitive Serviceを組み合わせたケースについて、簡単に紹介する。例えば、Dynamics 365の「マーケティング」「セールス」などのモジュールとAzure Cognitive Serviceを組み合わせれば、以下のようなことが可能になる。

●来場(来店)予測:ビッグデータを活用した来場者数予測とそれに基づく人員・在庫配置などの対策
●商品・販促リコメンド:顧客の好みに合わせた商品のリコメンドやキャンペーン施策の実施
●顧客獲得・維持:優良顧客になりそうな人への集中的なアプローチや離反しそうな顧客へのフォローアップ
●価格最適化:需要変動などに応じた最適な価格設定(ダイナミックプライシング)
●営業最適化:アプローチすべき顧客を予測して、営業訪問を最適化

 上記のうち、営業最適化ソリューションの導入事例では、ルート営業を主体に顧客アプローチを行っているある企業で、その企業が持つ販売実績や営業情報、地図ベンダーから取得した地理情報、各種の統計情報などをAIに学習させ、売り上げ向上につながる顧客を予測。これに基づいて、ルート営業の訪問先選定と新規開拓営業の訪問先選定を行った。

 この際、「当社が持つ独自技術によって、地理的な特徴もAIに学習させることで、より高精度な予測とリコメンドを実施できるようになる」(林氏)という。

 具体的には、どの地域でどれくらいの売り上げを期待できるのかを営業担当者にあらかじめインプットしたり、訪問先を地図上に示してリコメンドすることで個人による訪問先選定の偏りを解消したりすることができる。訪問先が小売店や飲食店であれば、売り上げに影響を与える競合店や交通量、駐車台数といったパラメーターを加味したうえで、訪問先の売り上げを推定することも可能だ。

日立ソリューションズ 産業イノベーション事業部 ポストモダンERP推進センタ主任技師の林由紀雄氏

 海外の事例としては、英エアウエア・インターナショナルが展開するシューズブランド「ドクターマーチン」が紹介された。米国のドクターマーチンでは、SNSの投稿など非構造化データと、販売実績、在庫データなどをAIに学習させ、エリアごとのダイナミックプライシングを実現したという。

 このほか、林氏は高級チョコレート「ゴディバ」を取り扱うゴディバ ジャパンと共同で行った、スマホで撮影した画像をAIで分析して商品情報を照会するシステムの実証実験の例(詳しくは、こちら)なども紹介した。

 オンライン、オフラインを含めて顧客とのすべてのタッチポイントをデジタルでエンドツーエンドにつなげていくこと。そこにAIやIoT、MRなどのテクノロジーを組み合わせることで、パーソナライズされた購買体験など新たな顧客体験価値を提供していくこと。それが、OMOという言葉で象徴される小売業の次世代ビジネスモデルであり、その実現をサポートするプラットフォームがクラウド上ですでに利用可能であることが、今回のセミナーを通じて理解できた。

【関連リンク】
Microsoft Dynamics 365概要
小売業のモード チェンジを支えるERP導入の心得(資料ダウンロード)

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