わかったこと

 自分の会社でメンタルヘルスが重視されていると思う人は回答者の半分以下で、自社のリーダーがメンタルヘルスの問題に積極的だと思う人は、さらに少なかった。

 この点は変化が必要だ。メンタルヘルスは、ダイバーシティとインクルージョンの新たな課題になりつつある。従業員は企業に、この問題に取り組んでほしいと思っている。回答者の86%が、企業のカルチャーとしてメンタルヘルスを支援すべきだと考えている。

 ミレニアル世代とZ世代では、この割合はさらに高い。彼らは労働人口の最大のグループで、離職率が高い。ミレニアル世代の半分とZ世代の75%が、メンタルヘルスを理由に自主的に仕事を離れたことがあるのに対し、回答者全体ではわずか20%だ。メンタルヘルスに対する意識が世代によって異なることを物語っている。

 したがって、従業員が必要としている支援を提供すれば、彼らのエンゲージメントを高めるだけでなく、採用や定着率にもよい影響をもたらすだろう。それに対して、何もしなければ、当然ながら、メンタルヘルスに対する時代遅れで有害なレッテル貼りを助長することになる。

 企業はこうした負のイメージを拭うために十分な対策を取っていないため、診断可能なメンタルヘルスの問題を抱える多くの人が、自分で気づかずにいる。しかし、私たちの最大80%が、生涯で1度はメンタルヘルスの問題に直面するのだ。自分で認識している人が少ないということは、多くの労働者が適切な治療を求めようとしないということである。これも、職場でメンタルヘルスの問題を告白する人が少ない理由の一つだろう。

 今回の調査では、回答者の60%近くが、過去1年間にメンタルヘルスの問題を経験していた(頻繁に言及される基本的な調査によると、過去1年間にメンタルヘルスの症状と向き合ったことがある人は20%で、それに比べるとはるかに高い数字だ)。さらに、自分の状態を職場で一度も話したことがない人は60%近くにのぼる。

 メンタルヘルスに関する会話があったという人も、前向きに捉えている人は半分以下だ。実際、会社のHR部門や経営幹部とそのような話をすることは、最も気が進まないという回答だった。一方でCEOを含む経営幹部も、一般の従業員と同じように、メンタルヘルスの症状と戦っていることがわかった。

 メンタルヘルスの問題を抱えているかどうかについて、勤続年数による違いはないが、そのほかのグループに違いがあることは注目に値する。

 たとえば、LGBTQプラスの人とミレニアル世代およびZ世代は、より長期的な症状を経験している傾向が高く、一方で、診察や治療、職場でメンタルヘルスの話をすることを、より受け入れている。また、黒人とラテン系の回答者の約半分が、メンタルヘルスを理由に少なくとも一時的に仕事を離れたことがあるのに対し、白人の回答者は32%だった。

企業にできること

 職場のメンタルヘルスを向上させたい企業は、特に若い多様なグループを支援したい場合、従来の戦略を修正する必要がある。メンタルヘルスはHRだけでなく、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の問題でもある。むしろ、あらゆる人に広まっていることを考えると、DEIのカテゴリーになりつつある。

 同時に、メンタルヘルスの経験が人によって広く異なることを考えると、分野をまたいだ視点が必要だ。HR部門の取り組みやEAP(従業員支援プログラム)のストレスチェックだけでは、メンタルヘルスの微妙な部分に対応したり、本人の変化を促したりするには足りない。メンタルヘルスに限った対策だけでも、問題は解決できないだろう。

 福利厚生がどれだけ手厚くても、実際にメンタルヘルスの負のイメージを軽減して、従業員が懲罰を恐れずに福利厚生を利用しやすくすることは、企業の文化の役割だ。

 今回の研究によると、職場の支援のリソースとして最も広く求められているのは、メンタルヘルスに対してよりオープンで受容的な文化、研修、そして、どこに行って、誰に支援を求めればいいかという明確な情報だ。これらの点を含む重要な対策には、多角的な取り組みが必要となる。