●一番の原因を突き止める

「どれか1つ、あるいは2つのことを人に引き継いだら、いま感じているストレスを8割緩和できるか?」を考える。実際には引き継げなかったり、その責任から逃れられなかったりしたとしても、これを考えることが、ストレスの一番の要因を突き止めるのに役立つ。

 それがもし完了間近のプロジェクトなら、片付けてしまおう。プロジェクトやタスクの大きさがプレッシャーになっているならば、手に負える大きさに小分けするか、人を増やしてもらうか、可能ならば期限を交渉し直すか、あるいはその全部を行う。

 ●時間と労力に上限を設ける

 タイムボックス(時間割)をつくり、タスクやプロジェクトに費やす時間をあらかじめ設定する。決めた時間に退社する。あるいは、特定の種類の仕事を断る

 アジャイは、チームメンバー同士の衝突の仲裁に、かなりの時間を割いていることに気づいた。それによって自分の時間を生産的に使っていなかったばかりでなく、みずから解決しようとせずに、すぐに上司の指示を仰ごうとする部下たちの姿勢を助長していた。そうした相談に応じるのをやめ、自分のところに来る前にできるだけ自力で解決するよう伝えたおかげで、仕事をじゃまされる頻度が減り、優先課題に集中する時間をつくれるようになった。

 ●完璧主義を見直す

 完璧主義の人は、タスクやプロジェクトを必要以上に大きくしてしまう嫌いがあり、それが先延ばしや精神的苦痛につながることもある。やることがたまるとますますプレッシャーになり、その結果、さらなる先延ばしとプレッシャーを呼ぶ。

 シェリル・サンドバーグの有名な言葉がある。「完璧より完遂」。これで「よしとする」タイミングを知るためには、「このタスクやプロジェクトにもっと時間をかけた場合、限界利益はいくらか」を考えよう。利益がほんのわずかなら、そこでやめて終わりにする。何でも完璧にできる人はいないと、自覚することも大事だ。

 スーは結局、時々メールを見過ごすことは仕方がない、重要な内容であれば相手からまた連絡がある、という考えを受け入れることができた。

 ●外注するか引き継ぐ

「自分の時間を最も有効に使える仕事は何か」を考える。その答えに当てはまらない仕事は、他の誰かを教育し、託そう。たとえば、一部のプロジェクトの管理や会議への代理出席、一次採用面接などをチームのメンバーに任せたり、家の掃除や料理の代行を利用したりする。

 マリアは、いつも自分がやっている毎週の営業会議の進行を、他でもない営業統括が行うべきだと気づいた。その社員を採用してから1年以上経つのに、自分が「習慣的にやっていた」仕事にしがみつき、手放すのが不安で、きちんと仕事を任せていなかった。ようやく、自分は会議の報告をメールで受けるだけで十分だと認めた。このタスク1つを手放しただけで、1年で52時間も手が空き、他の優先度の高い戦略的課題に集中できるようになった。

 ●思い込みに疑問を持つ

 常に追い詰められているように感じている人は、思い込みが強く、つい非生産的な行動を取ってしまっている可能性が高い。キーガンとレイヒーはこれを「強力な固定観念」と呼んでいる。

 スーの思い込みは、「何か見落としがあったら、自分はおしまいだ、二度と立ち直れない」というものだった。アジャイの場合は、「人の助けにならなければ、自分に価値はない、人から必要とされなくなる」。マリアの場合は、「私がしっかりしなければ収拾がつかなくなり、会社が潰れる」という思い込みだ。

 本人たちは自分の固定観念を本気で信じていたが、こうした狭量な考えが100%正しいはずはなく、彼らは過去のパターンに囚われ、自分で自分の首を締めていた。こうした思い込みを時間をかけて突き止め、真実ではないことを理解していくことで、彼らはそれまでの窮屈な世界観を広げ、それによって人に振り回されるという感覚が減り、自己主体感を高めることができている。

 仕事や生活が大変なとき、誰もが追い詰められているように感じることはあるが、その頻度や程度を軽減するために、上記の対処法を役立てほしい。


HBR.org原文:How to Deal with Constantly Feeling Overwhelmed, October 10, 2019.


■こちらの記事もおすすめします
自己管理が作業化してストレスを溜めていないか
完璧主義による自滅を防ぐ方法
誰にも邪魔されない「不可侵の日」を週に1日は設けるべき理由

 

レベッカ・ザッカー(Rebecca Zucker)
リーダーシップ開発を専門とするネクスト・ステップ・パートナーズの共同創業者・経営者兼エグゼクティブ・コーチ。クライアントに、アマゾン、クロロックス、モリソン・フォースター、ジェームズアーバイン財団、スコール財団の他、ドキュサインやドロップボックスなど急成長中のテクノロジー企業がある。ツイッターは@rszucker