筆者らの一人は先頃の出張で、パブリック・ホテル・ニューヨークシティに宿泊した。デザイナーズホテルの第一人者、イアン・シュレーガーが手掛けたお洒落で新しいホテルだ。

 頻繁に出張する彼にとって、毎回ホテルの部屋を予約するたびに、個人情報と支払い情報を入力しなければならないのは面倒である。もしホテル側から、この入力作業の直後に満足度を訊ねられたら、1~10点でおそらく1と評価していただろう。

 数週間後、彼は大陸を横断する夜行便でのフライトで疲れた後、パブリック・ホテルに到着した。時刻は午前5時で、規定のチェックイン時間のかなり前だったが、部屋への入室を許可された。心からありがたいと思ったので、もしこの時点で満足度を問われたら6点か7点にしていただろう。

 清潔で現代的な部屋に入ると、ニューヨークの摩天楼を照らしながら夜が明けていく瞬間が窓から見え、胸が躍った。心中の満足度は10点に達していたかもしれない。

 滞在の最終日、彼は部屋から慌ただしく退出しなければならなかった。ホテルはチェックアウト時間の延長を、たった30分でも認めてくれないからだ。このときは知人にホテルの悪口をこぼしたい気分になり、満足度を訊かれたら0点をつけたはずだ。クレジットカードで精算する頃には、気分はやや持ち直しており、低下傾向にあった評価は5点程度にまで上向いた。

 ホテル経営陣が、この客の満足度を宿泊体験の最終時点でのみ測定するのであれば、彼の最終判断という一つのことしか学べない。しかし、もしバリューチェーン全体にわたって測定していれば、はるかに多くを学べたはずだ。

 まず、彼の体験は時とともに変動した。そして、最もポジティブな体験はおそらく、このホテルの一貫した強みを反映している。この強みは事業者にとって、知るべき重要なポイントである。

 自社のメリットとなるポジティブな顧客行動――たとえば、オンラインでのレビュー投稿、他者への推奨、再購入、定期購入、メーリングリストへの申し込みなど――を望むならば、理想的なタイミングがある。顧客の最もポジティブな体験の直後に、それらを促すのだ。そのタイミングはたいてい、自社の製品・サービスの最も優れた部分に顧客が接した後に生じる。

 体験の終わりまで待つ必要はない。その場面で何らかのネガティブなことが生じる可能性があるなら、なおさらだ。満足度の平均値が最も高い瞬間の直後を選ぶほうが、理に適っている(それがどのタイミングなのかは、カスタマー・バリューチェーンのさまざまな場面で満足度を測定してから、初めてわかる)。