ピボットに成功している日本企業

――日本で事業転換がうまくいっている企業はありますか。

 リクルートは2011年以降、グローバリゼーションによる事業構造の大変革によって売上高を大きく伸ばしました(図1)。「2020年までにHR領域(人材資源の確保と育成)でグローバルNo.1へ」「2030年までにマーケティングメディア事業No.1へ」という目標を掲げ、世界NO.1のマーケティングプラットフォームの実現を目指しています。注目したいのは、経営理念まで遡って変革していること。前述したように新たなマーケットや消費者ニーズに対応するためには、企業の存在意義から見直す必要があるからです。ちなみに、新しい経営理念は「私たちは新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す」です。

出所:リクルート「総合報告書2017」よりアクセンチュア作成

 またNTTグループは、通信キャリアとしての顧客情報を活用して他事業を展開。一つの事業機会から次の事業機会へと効率的に事業を広げ、継続的にポートフォリオを再構築しています。

 ソニーは現在、エレトロニクス、エンタテイメント、金融の3つの事業領域において、持続的な社会価値と高収益の創出を目指しています。ライフサイクルが異なる過去・現在・未来の事業を同時にマネジメントするという試みは、国内では同社が初めてではないでしょうか。

 トヨタも、ハイブリッド車へのピボットを成功させています。1990年初頭からバッテリー技術への投資を本格的にスタートさせましたが、当時、米国の競合他社はハイブリッド技術に見向きもしませんでした。しかし、2017年にはトヨタは430万台のハイブリッド車を販売し、この技術で利益を上げている唯一の企業になっています。コンセントから直接バッテリーに充電できるプラグインハイブリッド車を含めると、トヨタ車はこれまでに販売された電気自動車3台のうち2台近くを占めており、2025年までに全車種の完全電気自動車化を計画しています。