子育ての変化を乗り切るために

 子どもの成長とともに必ず訪れる変化に対して、親はどのような準備ができるのだろうか。どうすれば、新たな難題に対処しながら、その恩恵を活かすことができるのだろうか。

 まず、子どもが入学するときは、新たな保育サービスを手配する必要が出てくることを想定して、予算を組まなくてはならない。放課後や夏休みの保育については、何ヵ月も前から確保しておく必要がある。また大雪や早めの下校、突発的な会議など、保育の空白が想定外に生じるかもしれないので、1つか2つ予備の手段も用意しておくこと。

 子どもの成長につれて、保育や見守りの方法にも工夫が必要となる。ティーンエイジャーに必要なのは、監督する人よりも、車で送迎してくれる人や家庭教師かもしれない。そして何より、子どもの世話をコストとしてではなく、あなたのキャリアと子どもの幸福のための投資として考えることが大切だ。

 私たちは働く親に対して、キャリアを発展させていくのために職業上のネットワークを築くのと同様に、サポートのネットワークをつくるよう勧めている。

 研究では、地域社会のサポートがあると、働く母親はストレスが減り、仕事の質も向上することがわかっている。どこに住み、どこで仕事をするかを決めるとき、親はランクの高い学校に注目しがちだが、放課後のプログラムのような地域社会の財産や、カープール(相乗り)や雪の日の保育で助け合える親同士の仲間を見過ごしてはいけない。

 また職場でも、あなたの仕事と子育ての両立を支えてくれる味方をつくることが大切だ。私たちはマネジャーや同僚の立場で、親の義務は子どもが入学したからといって終わりではないことを、もっと意識すべきである。

 雇用者は、あらゆる年齢の子どもを持つ親をサポートできるよう、社内の制度や施策を拡張し、実際の事例を増やしていかなければならない。

 出産後の豊富な育児休暇で終わりではない。ティーンエイジャーの子どものアカペラ公演を見に行くとか、会議を抜け出して学校のお迎えができるといった柔軟性が必要だ。特別な支援を必要とする子どもを持つ親の場合、教師や療育の専門家と会ったり、子どもの権利のために活動できたりするように、さらなる柔軟性が必要となる。社員の家庭のニーズをサポートすれば、社員が仕事で成長するのを助け、最終的には離職率や欠勤が減り、生産性の向上につながる。

 一部の企業では、より創造的な方法で、年長の子どもを持つ親をサポートしている。バイオテクノロジー企業ジェネンテックは、学校の長期休暇中の子ども向けに良質なプログラムを紹介する団体と提携している。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、従業員の子どもの言語療法、作業療法、精神療法、理学療法を経済的に援助している。

 私たちの研究を通じて明らかになったのは、親であることは絶え間なく進化する道のりであり、親の体験やニーズはそれぞれ異なるということだ。親であることに終わりはなく、ただ形が変わっていく。そのことを認識し、子どもの人生を通じて適切にサポートすれば、よりよい職場、より堅固な家庭、そしてより健全な地域社会をつくり出すことができるだろう。


HBR.org原文:How Being a Working Parent Changes as Children Grow Up, September 26, 2019.

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ダナ・グリーンバーグ(Danna Greenberg)
バブソン大学ウォルサー H. カーペンター記念講座教授。経営学と組織論を担当。ジャミー・ラッジとの共著Maternal Optimismでは、働く母親がキャリアと家庭を両立するために、それぞれどのような道のりをたどったのか、その独自性を考察している。

ジャミー・ラッジ(Jamie J. Ladge)
ノースイースタン大学パトリック F. およびヘレン C. ウォルシュ記念講座研究教授。経営学と組織開発を担当。ダナ・グリーンバーグとの共著Maternal Optimismでは、働く母親がキャリアと家庭を両立するために、それぞれどのような道のりをたどったのか、その独自性を考察している。