ハーバード・ビジネス・レビューが厳選するEI(感情的知性)シリーズは、この11月で刊行1周年を迎える。記念すべき最新刊のテーマは『レジリエンス』。不安定な世界情勢、ストレスフルな環境のなか、いかに自分を守り、立て直していくか――レジリエンスの能力がますます問われるようになっている。


「EI〈Emotional Intelligence〉」(感情的知性)はいまや、リーダーが必ず押さえておくべき領域として、世界のエグゼクティブやビジネスリーダーから注目を集めるようになりました。

 そのなかでも、昨今、とくに関心が高まっているのが、「レジリエンス」(再起力)です。グローバル化が進み、AIによる仕事やビジネスプロセスの再設計が見込まれ、社会や職場はますますストレスフルになるばかり。そのような環境において、いかに自分を守り、立て直していくか、いかに折れない心を育むかは、もはや不可避となっています。

「レジリエンス」というと、これまでは人生における絶望的な悲劇からいかに立ち直るかという文脈で語られることが多く、その領域において研究が進んできました。ビジネス界で言えば、フェースブックのCOOシェリル・サンドバーグ氏が愛するパートナーを失い、そこから人生おける喪失や困難さにいかに向き合っていくかを記した著書『OPTION B』が話題になったことをご記憶の方もいるかもしれません。
(サンドバーグ氏と共著者であるアダム・グランド氏のインタビュー記事は、本書にも収録されています)

 しかし、このところレジリエンスの対象は、さらなる広がりを見せています。たとえば、「燃え尽き症候群を回避する」「才能へのプレッシャーを和らげる」「批判的なフィードバックから立ち直る」といった、日常に潜むレジリエンスの重要性についての言及が格段に増えてきているのです。

 仕事における失敗や厄介ごと、人間関係の悩みなど、誰もが直面しうる事柄が、ほうっておくと降り積もり、やがて取り返しのつかないダメージに至ることが多々あることに気づいたからでしょう。

 さらに、より大きな観点では、この不安定な世界情勢のなかで、国家や社会レベルでのレジリエンスについての議論も進んできており、いまや、レジリエンスは、世界のビジネスリーダーにとって必要不可欠な能力として認識されているのです。

 本書では、「レジリエンスとは何か」への言及に始まり、日常的なストレスから身を守るエクササイズ、昨今職場で欠かせないフィードバックによって受けたショックから立ち直るノウハウなど、すぐに実践できるアドバイスが散りばめられています。

 また、失脚し名声を傷つけられたリーダーたちがいかにして復活したか、という論考では、評判を守るために声を上げるべき時などの戦略を学ぶことができます。

 さらには、ダイバーシティの潮流が高まりつつあるといえど、米国ビジネス社会で今なお少数派のアフリカ系女性がどのように昇進できたのかを調査した論考からは、組織内でのマイノリティの生き残り方をうかがい知ることができます。

 日本語版への解説は、豊橋技術科学大学の岡田美智男教授。機能至上主義と一線を画す、「弱いロボット」を発表されたことでも有名です。ロボットと人間のコミュニケーションのご研究を通して、普段我々の気づかない新鮮な角度からレジリエンスを取り上げていただいています。

 ぜひご覧ください。

EIシリーズのラインナップについては、EI特設サイトをご覧ください。