モバイルクリエイティブの導入率は
2018年に70%までアップ

――モバイル時代の消費者とのコミュニケーションをどのように再設計していくべきだとお考えですか。マーケティングリソースの再配分やマーケティング手段・ツールの選定、クリエイティブの最適化などを含めて、どのようにお考えでしょうか。

 お客様が車をご購入されるまでの来場回数が減っているのは大きな変化です。検討時間が減ったり、衝動的に車をご購入されたりするようになったわけではなく、事前にウェブ上のコンテンツをよく比較検討されたうえで、車種を決め打ちして来場されるお客様が増えています。

 そういった環境の変化にも対応していく必要があります。ショールームにご来場いただくことは重要ですが、お客様の検討プロセスにおける役割が変わっています。比較検討したり、一から説明を受けたりするというよりは、決めた車を試乗する、あるいは事前に調べて気になった部分を深く質問されるなど、お客様の行動も変わっていますので、そこには注意と対応が必要です。

武村 当社が国内で行なった調査では、一般的に購買までの来店回数は平均1.9回でした。また75%の購買は最初に検討した4つのモデルの中から選ばれていることもわかっています。

 初期のショッピングリストに入れるかどうかが購買決定に大きく影響するため、そこに入れるような認知をつくることが重要です。それもただ認知率が高ければいいわけではなく、お客様にどのような差別化ポイントが認知されているかといったことが重要です。

武村綾悟
フェイスブック ジャパン
自動車業界担当クライアントパートナーマネージャー

 他社との差別化ポイントといった観点では、各車種で広告クリエイティブのバリエーションをできるだけ多く用意することで、お客様のさまざまなニーズにしっかり対応し、かつより多くのお客様にリーチできるようにしています。

 また、マーケティングダッシュボードなどのITツールを利用することで、メディア投資効果がリアルタイムに可視化できるようになりました。かつては、月次や四半期ごとに投資効果を検証していましたが、いまはデイリーでわかるので、われわれのアクションも速くなりました。

――デジタル広告の場合は、プラットフォーマーと情報交換する機会が増えると思いますが、そのメリットはどのようなものでしょうか。

 プラットフォーマー各社とは密な関係を保つようにしています。例えば、クリエイティブに関してもテレビCMとは作り方が違うので、共同で勉強会を開くなどして効果的なクリエイティブを追究しています。

 従来はテレビCMを後からモバイル用に作り変えていたのですが、最近は撮影段階からモバイルでの配信を見据えて作っています。

 モバイルクリエイティブの導入率は2017年の11%から、18年には70%までアップしました。そして、モバイルにクリエイティブを最適化した結果、配信コストを3割下げることができました。

武村 弊社は業界全体のマーケティング動向や国内外のベストプラクティスを蓄積しており、自動車業界に特化した戦略を提案することが可能です。今回のようにクリエイティブをモバイルに最適化することで、視聴数、視聴時間やエンゲージメントなど、ユーザーの好意的な反応が上がり、結果として配信コストが下がるといった傾向が見られましたので、いち早くご提案させていただきました。

 モバイルで動画を効果的に見せることを考えた場合、テレビ素材をそのまま使うのではなく、各プラットフォームに合わせて最適化し、リーチの質を高めています。

 モバイルに合わせた素材については、(SUVの)「エクストレイル」が典型例の一つとして挙げられます。車体は横長ですから、テレビ素材をそのまま投稿すると、縦長のスマホ画面に全体を収めることはできません。

 そこで、エクストレイルでは、正面や斜め前から撮影した縦長の画像を使いました。クリエイティブの現場では、縦に編集することを想定して撮影したり、縦長画面を前提に動画を作ったりすることが当たり前になってきました。