理由2:トラック運転の完全な自動化は、遠い先のことである

 ここで、運転自体に目を向けてみよう。トラックの運転は、まもなく自動化されるのだろうか。

 はじめに、自動運転とは何かを知っておく必要がある。

 自動車エンジニア協会(Society of Automotive Engineers)による現在の基準では、自動化は5段階で定義されている。レベルゼロは自動化なし、レベル5は完全な自動化だ。段階が上がるにつれて、車両への人手の介在は減っていく。加速やハンドル操作といった運転の諸機能をコントロールするのが人なのか機械なのかも、各段階で変わる。

 レベル5(完全自動化)の厳重に管理されたデモ走行は、実施例が非常に少ない。より一般的に見られるのは、主にレベル2や3(部分的または条件付きの自動化)を主眼とした技術導入だ。メディアの見出しは自律走行トラックの台頭を喧伝するが、それらの説明は、この両方を混同しがちである。

 筆者らは研究の中で、雇用を予測するにあたり「自動化レベル4の普及」を基準とした。特定の(すべてではない)運転条件下でシステムが運転とモニタリングをコントロールする、高度に自動化された環境を想定したわけだ。

 レベル4をベンチマークとしたのには理由がある。レベル5では、システムがあらゆる条件下で、すべての運転とモニタリングを遂行する必要があり、現時点では実証実験が行われていない。そして自動化レベル3では、システムを補助するための人的介在が必要となるが、運転手の職が脅かされるほどのものではない。

 レベル4の自律走行トラックを開発中の企業は複数あり、労働力の必要性を減らすことでコスト効率を実現しようと模索している。この技術が発展すれば、ある程度の数の運転手が代替されるリスクは高まる。だが、それはどの程度だろうか。

 これらの技術開発のほとんどが主眼としているのは、長距離および州間のトラック運送の自動化であり、短距離や同一地域内のトラック移動ではない。筆者らは2002年に最終更新された「車両の在庫・活用調査(Vehicle Inventory and Use Survey)」をもとに、米国のトラックのうち長距離運送で使われている割合を推計した。計算によると、全大型トラックの約4分の1は、323キロメートル以上の長距離に使われている。そして約半分は、比較的短い稼働範囲(80キロメートル以下)で使われている。

 トラック自動化の目下の焦点が長距離運送にあることを踏まえると、大型トラック運転手の約4分の1、つまり約45万人が職を失う可能性があると考えられる。そうなるのは、自動化技術の洗練度と信頼性が時とともに高まり、規制上のハードルが克服されてからの話だ。数百万にはほど遠いとはいえ、この数字はもちろん、雇用喪失のリスクにさらされる人の数としてはかなりのものである。

 また、特定の業界でトラック車両を運用する企業は、他業界に先駆けて自動化技術を導入する可能性が高い。たとえば、倉庫業と運送業だ。これらの業界に属する、運送専門業者(貨物の保有者ではない)と、自家運送をする企業(貨物の保有者。自社の製品を自社で運ぶ)は、他業界の自家運送企業に比べて、車載コンピュータなどのトラック関連技術をいち早く導入してきた歴史がある。

 倉庫業界と運送業界の長距離用トレーラーのみに対象を絞ると、自動化の影響を真っ先に被る可能性があるのは、全トラックの約19%、つまり約34万2000人の運転手となる。