1.聞き手のことを考えて準備する

 プレゼンの準備をする際に、誰もが犯している過ちがある。それは、最初に「テーマ」を決めていることだ。これをやると即座に細かい内容に入り込み、自分と周囲との間の壁を壊しにくくなる。

 そうではなく、最初に考えるべきは「聞き手」のことだ。話す内容を掘り下げる前に、こう自問する。どんな人が、何のために、何を求めて集まるのか?そして、具体的な答えを出す。聞き手のニーズ――言外のものを含めて――を見極め、そのニーズに直接訴えるメッセージを考えよう。

 2.話す直前に脳のスイッチを切り替える

 話す直前が最も緊張する瞬間だ。このとき、脳はこう告げている。「皆が私を品定めしている。失敗したらどうしよう?」。

 しかし、脳のスイッチを切り替えられるのも、まさにこの瞬間だ。自分にこう言い聞かせる。「私は、この聴衆に力を貸すために、ここにいるんだ」。脳には断固として従わないつもりで、自分にこう告げる。「いいか脳、このプレゼンに自分は関係ない、大事なのは聞き手の役に立つことだ」

 時とともに(通常4回から6回のプレゼンで)脳が理解し始め、緊張しにくくなる。

 3.話しながらアイコンタクトを取る

 よくある大きな間違いは、「集団」を相手に話そうとすることだ。一度に全員を見ようとして会場を見渡すが、それでは誰ともつながらない。

 実際は、一人ひとりが個人として話を聞いている。したがって、聞き手とつながる一番の方法は、個人に話しかけることだ。どうやるかというと、「1つの考え」につき一人とのアイコンタクトを保つ(「1つの考え」は、およそ1節〔主語と動詞を含むフレーズ〕)。一人に集中すると、それぞれが自分だけに語りかけてくれているように感じる。

 これが、なかなか難しい。会場全体を見渡すことに慣れている人は、直接アイコンタクトを取るのが、最初のうちは心地悪く感じるかもしれない。けれども練習を重ねるうちに、実際には緊張が和らいでくる。一度に全員に向けて話すよりも、1対1の会話を重ねるほうが、はるかに簡単(で効果的)だ。

 この方法を3回以上連続して行ったクライアントは、ほぼ全員が、不安が緩和したという(最も重要なのは、部屋の一番奥にいる人たちに目を向けることだ。すでに不利な状況に置かれている人たちに、特に思いやりを見せることで、会場にいるすべての人を取り込むことができる)。

 思いやりには、充実感や、やりがいを感じさせる力があることがわかっている。これは人前で話すときにも、まったく同じ力を発揮する。苦痛でさえある緊張の体験を、他者の役立つ体験に変えてくれる。思いやりを持てば、落ち着き、肩の力が抜け――何より重要なことに――聞き手の心をつかみ、望み通りのインパクトを与える話し手になれるのだ。


HBR.org原文:To Overcome Your Fear of Public Speaking, Stop Thinking About Yourself, September 17, 2019.

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サラ・ガーシュマン(Sarah Gershman)
ワシントンDCの話し方教室、グリーン・ルーム・スピーカーズ社長。ジョージタウン大学マクドノー経営大学院教授。世界中から集まった学生にパブリックスピーキングを教えている。