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人前で話すことに苦手意識を持っている人は少なくない。緊張を和らげる手段として、聴衆と目を合わせないようにする人も多いだろう。だが、聞き手から目を逸らすとリラックスするどころか、緊張をより増大させることになるという。筆者はその解決策として、自分自身に意識を向けるのではなく、聞き手に意識を集中して「思いやり」を持つことを提唱する。本稿では、それを実践するための3つのステップを示す。


 人前で話すことが苦手な人は、組織のトップを含めて非常に多い。なぜ緊張するのかとクライアントに尋ねると、全員が口を揃えて次の理由を挙げる。

「人に見られるのが嫌」
「注目されるのが嫌」
「スポットライトを当てられるのが嫌」

 そして、いざ話す段階になると、ほとんど全員が、聞き手と目を合わせないようにしているという。そこに問題がある。アイコンタクトを避けることは、効果的な対策のように見えて、実は緊張を増大させるのだ。

 その理由を理解するには、先史時代にまで遡らねばならない。その頃、「自分を見つめる眼」は、みずからの存続に関わる脅威だった。その眼はたいてい、捕食者を意味していたからだ。

 人は、生きたまま食べられることを心から恐れていた。そうした現実を前にして、危険への対応を助ける脳の部位、扁桃体がフル稼働した。闘争・逃走反応(fight-or-flight response)が刺激を受けると、人は強いストレスや不安を感じる。

 これが人前で話すことと、どう関係しているのか。実は、すべてである。