1. 信頼の置ける相談相手とフィードバックの内容を省みて話し合う

 学びとは、内省を通じて起こるものだ。時間と場所を確保して、以下の質問について考えてみよう。

・フィードバックのレポートは、具体的に何をあなたに伝えているか。
・そのデータに関して、あなたはどのような反応と判断を示しているか。
・周囲の人々があなたについて経験したことの証拠として、そのデータをどの程度受け入れることができるか。
・どのような仮説に基づいて自分の行動を促しているだろうか。その仮説は正確だろうか。
・あなたは周囲の人々に、どのような影響を及ぼしているだろうか。
・それはあなたが望んでいる影響と比較してどうだろうか。

 フィードバックの内容について話し合おうと思ったとき、居心地悪く感じるのは当然のことだ。そこで、あなたの業績評価をする立場にいる人以外で、信頼が置けて、好奇心が強く、よい聞き手となってくれる相手を探そう(エグセクティブコーチや同輩、あるいは自分の組織外の人でもよい)。

 話し合いで心を開き、思慮深くあるためには、心理的安全性を十分に感じていることが欠かせない。また、この段階で助言を求めたくなることもあるだろうが、それは実際には助けにならず、むしろ有害になりがちだ。自分が聞いた内容についてじっくりと考え、その意味を理解し、自分のものとする機会を奪ってしまうからだ。

 たとえば、私が最近コーチングを行ったあるリーダーは、次のようなフィードバックを受け取った。「話しかけてもいつも何かに気を取られているように見えて、自分のチームの見解をちゃんと理解しようと質問してくることもありません。結果としてチームのメンバーは、リーダーは協力的でないと受け止め、一緒に仕事をするのが楽しくないと感じています」

 私たちはフィードバックの内容について話し合い、それに対して彼がどのように自己弁護しているかを探り、彼は何を持ってこのような影響を周囲に与えているのか、何が彼の行動を促しているかを検討した。

 これらの会話を通じて、彼は内省することができた。そして、特定の技術的問題については自分が誰よりも熟知していると思っているため、人の意見を求めることに何のメリットも感じていなかったことに気づいた。彼は、自分の動機を理解すると、同じ状況に対して、これまでとは異なる方法でアプローチすることができるようになった。

 誰を信頼して聞き役に選ぶとしても、次のことを覚えておいていただきたい。その人の役割は「注意深く耳を傾けて、あなたが自分の考えを整理するのを助け、あなたが自分自身の結論にたどりつけるようにすること」である。

 2. 開発計画を作成する

 フィードバックを十分に理解して、自分自身がこれまで以上に取り組みたいことと、そうでないことを突きとめたならば、開発計画を作成する。その計画には、次の内容を入れなくてはならない。

・受け取ったフィードバックの中で最も重要な部分を要約する(良いフィードバックも悪いフィードバックも)。
・フィードバックの内容に疑問があれば、すべて記入する(自己弁護や正当化はなしだ)。
・自分の強みをより活用・強化し、弱みを軽減・修正するためにどのような手立てを講じることが必要か明記する。
・そうした手立てを講じて、自分を改善するために必要な支援を挙げる。

 開発計画の最初のバージョンでは、どのデータが最も重要で重点を置くべきかをまとめ、優先順位をつける。そして、それを学びへと変え、具体的にどのような行動をとるべきか決定する必要がある。具体的な手立てを挙げることで、実際に自分の行動を変えて、改善できる可能性を高めることができるからだ。

 3.フィードバックの内容と開発計画について、フィードバックの提供者と話し合う

 これはおそらく、一連のプロセスの中で最も難しく、傷つきやすいステップであるが、最も力強いステップでもある。

 フィードバックを受け取ることは、いわば挑戦だ(特に、私たちは往々にしてよいフィードバックを読み飛ばし、悪いフィードバックばかりに目を向けてしまうため)。それは驚きや混乱、気まずさ、当惑といった感情、あるいは怒りや恥ずかしささえも引き起こしうる。

 このことから、自分へのフィードバックについて、その提供者と直接話したがらないリーダーが多いのもうなずける。だがそれを実行することで、透明性や謙虚さ、開かれた態度を形にし、つきまとう疑問に対する答えを手に入れ、うまくいけば、自分が変える必要のある行動の具体例を知ることができる。とりわけ重要なのは、同僚との関係を強化することで、自分自身の改善につながる可能性を高めることだ。

 フィードバック提供者との1on1ミーティングは、以下のように進めるとよい。

・フィードバック提供者に感謝の意を表する(重要だが、忘れられがちなステップだ)。
・フィードバックの内容を要約する(これは上記の「2.開発計画」で示した最初の項目でもあるので、事前に送ってもよい)。ここで肝に銘じていただきたいのは、誰が何を言ったかを知ろうとしないことである。このステップでは受け取った内容全体を共有するのが目的で、情報源が誰かを詮索してはいけない。
物事や状況をはっきりさせるための質問をする(議論したり、自己弁護したりしない)。
・付け加えるべき内容や具体例を求める。
・改善に向けて、どのような手立てを講じるつもりか伝える。
・自分に必要な支援があれば求める。

 我々がコーチをしたリーダーの多くが、このステップをグループミーティングで行えるか尋ねてくるが、それは良案とはいえない。効率のよい選択肢ではあるかもしれないが、その効果ははるかに小さい。

 集団の場では、リーダーは1対1の話し合いほど、オープンで思慮深く、率直にはなりにくい。グループミーティングはまた、フィードバック提供者に対して、「1on1ミーティングによってもたらされる深遠な学びと関係構築よりも、効率性のほうが私には重要だ」というメッセージを送ってしまうことになる。

 4. 開発計画を修正する

 フィードバック提供者との話し合いは、深い洞察と、自分が取り組むべき行動の具体例をもたらしてくれるだろう。この新たなデータを携えて、開発計画を書き直し、自分の進歩をいつ、どのように評価・測定するかを書き込む。

 我々がコーチしたリーダーのほとんどは、最初のフィードバックから3~6ヵ月後に、同僚と直接話すか、あるいは自分の上司や人事パートナー、エグセクティブコーチに依頼してデータを集めている。自分のアプローチを決めて、それを計画に加えよう。

 修正した計画をフィードバックの提供者に送り、今後どのようなことが期待されるかを伝え、あなたとの対話に実効性があった旨を知らせること。計画を共有することで、あなたがやると決めたことを実行する可能性を高めることができる。

 5. 行動を起こす

 ここから本当の取り組みが始まる。フィードバックとフォローアップミーティングから学ぶことで、自己認識(セルフアウェアネス)が生まれるのは素晴らしい。だが実際に、開発計画に示された手立てを講じない限り、あなたが改善することはない。

 たとえば、部下の育成をもっと上手に進めたいのならば、定期的な1on1ミーティングの回数を増やすように計画すること。部下の成長の優先順位をもっとよく理解し、それを支援するために自分にできることは何かについて、部下と意見を一致させるのがよい。あるいは、ミーティングでもっとインクルーシブ(包摂的)になりたいのならば、自分の意見を述べる前に相手の発言を聞いたり、相手が話せるように自分が口を閉じる時間を探すように計画したりするのもよいだろう。

 あなたがどのように変化したいとしても、開発計画に書かれた手立てに従うことが、改善のカギとなる。

 6. 進歩を評価して、プロセスを繰り返す

 自分の進歩を評価するタイミングと方法について、修正した育成計画の指示に従う。

 あなたの同僚は、最初にフィードバックの内容を共有したときと比べて、あなたがどの行動を実践していると受け止めているだろうか。何が改善されてして、何が改善されていないのか。これらの行動はいま、どのような影響を及ぼしているだろうか。他に何が必要だろうか。

 これらのデータが集まったら、再び信頼の置ける相談相手とその内容を省みて、新たな方法を検討し、開発計画を書き直して、次に必要な行動に移ろう。

 非常に手間がかかるように思われるかもしれないが、それは実際にそうだからだ。フィードバックを求めた後に、効果的に物事を進め、必要な学びを得て、それに基づいて行動を起こすには、時間とエネルギー、そして自分自身の弱さを認め、勇気を持つことが必要となる。

 にもかかわらず、我々はこのプロセスに注力したリーダーから、フィードバックのレポートを受け取るよりも価値があると、繰り返し耳にしている。このようなリーダーは、自分の強み、自分には不足しているものに関して深い洞察を得て、フィードバック提供者とより強力な関係を築き、結果として同僚と組織にさらに大きな影響を与えている。

 優れたリーダーは、フィードバックを受け取るだけでは終わらせない。それを理解しようと努め、有意義で長続きする変化を生じさせる行動にコミットし、最後までやり通すのだ。


HBR.org原文:6 Steps Leaders Can Take to Get the Most Out of Feedback,  September 10, 2019.

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ジェニファー・ポーター(Jennifer Porter)
リーダーシップとチームの開発を支援する企業、ボダ・グループ(The Boda Group)のマネージングパートナー。ベイツ大学卒業後、スタンフォード大学スクール・オブ・ビジネスを卒業。オペレーション担当の上級幹部としての経験を積み、上級幹部とチームのコーチを務める。