●間違い6:安心を感じられる文化が存在しない

 敵意に満ちた職場はすぐにわかる。ミーティングが異様に同調的だったり、静かだったりするのは、よくない兆候だ。これは従業員が、意見やアイデアを口にしたら、批判されるのではないかと恐れているときに示しがちな態度である。

 ということは、マネジャーは恐怖の文化の中で仕事を動かしている可能性が高い。安心して仕事ができないスタッフはミスをする可能性が高く、リスクを引き受けたがらず、健全な対立も避けたがり、仕事を通じて成長する可能性が低い。これに対して、安心して仕事ができる従業員は、生産的で、独創的で、チームへの帰属意識を楽しむ。

 どうすればこうした状況を回避できるか

 安心して仕事ができる環境をつくり、マネジャーであるあなたが、新しいアイデアに対してオープンであることを示そう。

 ミーティングでは、答えを示す前に質問を投げかけ、それに応えてくれた人に感謝の気持ちを伝えて、追加的な質問をしよう。難しい問題についてブレインストーミングをするときは、すべての意見を考慮に入れに、「間違った答え」は存在しないことを強調しよう。ポテンシャルの高いアイデアが生まれたときは、ためしにそれをやらせてみて、次のミーティングでその結果を発表してもらおう。プロジェクトや戦略に、スタッフのフィードバックを取り入れるほど、スタッフはあなたの下でエンパワメントされ、大切にされていると感じ、安心を感じるだろう。

 さらに、一定の謙虚さを示そう。マネジャーが自分の失敗を認めると、あるいはあらゆる質問に答えられるわけではないことを認めると、スタッフに「失敗」してもいいのだというメッセージを伝えることができる。失敗は成長するチャンスだという見方をあなたが取れば、スタッフも同じような考え方をするようになるだろう。

 ●間違い7:職場が安全すぎる

 研究によると、職場における控えめなプレッシャーと摩擦は、従業員が成長するうえで健全なものだ。

 ここで重要になのは「控えめ」であること。優れた働きを見せようと過度にプレッシャーを感じると、従業員は何が重要かを見失って、切羽詰まり、非倫理的な手段を使ってでも人より秀でた働きをしようとするかもしれない。その一方で、まったくプレッシャーを感じない環境では、自分の仕事に意味があるのかと疑問に思う従業員が出てくるかもしれない。仕事に意味や目的を見出せない人は、目的意識の高い組織で働く人よりも、自分のポテンシャルを発揮せず、生産性が低く、組織への忠誠心も低いことが多い。

 どうすればこうした状況を回避できるか

 健全なレベルの摩擦を生み出す方法の一つは、チームに定期的なフィードバックを与えることだ。それも、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックの両方を与えること。ネガティブなフィードバックでも、よく考え抜いた方法で、決めつけではない形で与えられれば、有意義な目標を与えることができる。

 スタッフがうまくやっている部分を伝え、彼らの役割が組織全体の目標に貢献していること(貢献の大小にかかわらず)を伝えるのも重要だ。すると従業員は、組織全体における自分たちの位置づけを理解し、一段と大きな目的意識を持てるようになる。

 ●間違い8:リーダーにバイアスがかかっている

 人は、自分がお金を払っている企業からフェアに扱われていることを非常に重視することが、消費者研究からわかっている。同じことが、自分の時間を会社に捧げている労働者にも言える。すなわち、会社にフェアに扱われていることを労働者は重視する。フェアな(つまりバイアスのない)リーダーは、従業員に信頼される。そしてマネジャーと従業員の信頼関係は、「最高の職場を定義づけるもの」であり、チームの成果を高め、収益にもプラスになる。

 一方、信頼が欠如していると、職場の士気は低下し、チームは手探りで仕事をすることになりかねない。こう考えてみてほしい。あなたのスタッフが、あなたのことをリーダーとして信頼していなかったら、どうやって結束して、日々の活動とチーム(または会社)の共通目標を一致させればいいのか。従業員の立場になって考えてみよう。あなたは明確な方向性のない職場で働きたいと思うだろうか。

 どうすればこうした状況を回避できるか

 まず、自己認識(セルフアウェアネス)を磨くのは、いいスタートになるだろう。自分の暗黙のバイアスを見つけて、それを調整して克服できれば、フェアなリーダーになれる可能性は高まる。

 重要な決断を下す前に、あなたをこれまで動かしてきたことは何かを考えてみよう。あなたは証拠に基づき選択するタイプだろうか、それとも好みに基づき選択するタイプだろうか。自分とは違う視点で物事を考えてみたことがあるだろうか。自分で埋められる知識の不足はないか。チームから定期的にフィードバックをもらい、それに基づき行動を起こすと、フェアでオープンなコミュニケーションの文化を構築できるだろう。

 あなたのチームのワークエクスペリエンスを完全にコントロールすることは、不可能だ。どうしても辞めたい人は、何を言っても辞めていくだろう。

 だが、あなた自身の行動と、あなたがコントロールできることに意識を集中すれば、チームのパフォーマンスと結束を高められるものだ。より上手な管理ができるようになるほど、あなたのチームはより生産的になり、独創的になり、仕事への満足感を高め、(最も重要なことに)組織に忠実になるだろう。


HBR.org原文:8 Things Leaders Do That Make Employees Quit, September 10, 2019.

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ジョン・クリスチャンセン(Jon Christiansen)
データ主導の戦略・予測分析企業インサイツ・アンド・アウトカムズ(Ins & Outs)共同創業者。市場調査会社スパークス・リサーチ社長も務める。組織開発、マーケティング・インテリジェンス、データサイエンス、消費者心理、経済学、サイバーセキュリティーを扱うポッドキャスト「ザ・モダン・ポリマス」の共同司会者。