●間違い1:目標や期待に一貫性がない

 次のような状況を考えてみてほしい。

 あるとき、レンタカー会社の営業担当者が、新しいクライアントの意向に応じるか、過去のクライアントの情報をシステムに正しく力するか、どちらに時間を費やすべきか選択を迫られたとする。上司は日頃から、「遅いサービスは悪いサービスだ」と断言してきた。でも、顧客情報の入力を間違うとクビになる可能性があることを、彼女は知っていた。どちらをやるかは毎日大きなストレスで、彼女はこの仕事を大嫌いになってしまった――。

 これはけっして、珍しい悩みではない。だが明確な優先順位がないなか、従業員が対立する期待に応えるためにタスクを選択することを強いられると、その職場はストレスでイライラした人の集まりになってしまう。

 どうすればこうした状況を回避できるのか

 ディズニーを参考にするといいだろう。「マジック・キングダム」(日本の名称は「ディズニーランド」)のスタッフは全員、タスクの優先順位を示したリストを与えられている。1番は安全、2番目は礼儀、3番目はショー(またはパフォーマンス)で、効率は最後だ。このためやっかいな状況に陥っても、どう対処すべきかを迷うスタッフはいない。

 あなたも、スタッフに期待する事項を一貫性のある明確なリストにすれば、同じように安定をチームにもたらすことができる。たとえスタッフに配らなくても、それを書き出して、矛盾や重複がないかチェックすること。そのうえで、必要な変更を加えてシェアしよう。こうすればスタッフは、自分で自分のタスクを管理する権限を与えられているという感覚を持てるから、あまりストレスを感じなくて済む。


 ●間違い2:手順上の制約が多すぎる

 手順上の制約とは、情報やリソースなどが不足して、仕事が進められなくなるときによく生じる。たとえば、あるプロジェクトで、ほかのタスクが終わらないと、自分のタスクを進められないようなときだ。

 こうした制約は当然、スタッフの仕事の成果に影響を与えるけれども、上司はその成果の部分だけを見て評価を下しがちだ。すると、自分のせいではないのに、仕事が(たとえば)遅いと評価されたスタッフは、無力感を覚えて、やる気を失い、仕事の質が低下して、苛立ちを示すようになる。

 どうすればこうした状況を回避できるか

 スタッフの仕事を評価するときは、その背景を考慮に入れる。評価基準を見直して、スタッフが自分の仕事の成果をどのくらいコントロールできる立場にあるか、「あなたが」スタッフの仕事に影響を与えうる制約をどのくらいコントロールできるか考えること。スタッフの仕事ぶりについて本人と直接話をして、懸念事項があれば言えるような質問を投げかけてやろう。

 手順上の制約がスタッフの仕事ぶりに影響を与えていることがわかった場合は、あなたの立場を利用して、その状況を改善する努力をしよう。そのためには、他の部門や幹部と難しい話し合いをする必要があるかもしれない。だが、そうした会話は、究極的には、あなたの部下と業績の両方に恩恵をもたらすはずだ。

 ●間違い3:リソースの無駄遣い

 あなたがマーケティング部門のマネジャーだったとしよう。

 金曜日に新しいキャンペーンをスタートすることになった。今日は火曜日。ということは、理論的には時間はたっぷりある。ただ、今日は6つもミーティングがあって、それに4時間半取られてしまう。明日は7つミーティングがあって、6時間は動けない。木曜日はチーム研修があって、それに5時間取られてしまう予定だ。これでは、いつ仕事をすればいいのか。

 これはまさに「リソースの無駄遣い」だ。この場合(そして多くの場合)、無駄遣いされるリソースは時間である。常に時間に追われているスタッフは、燃え尽きるのも早い傾向がある。それは彼らの成果物の質を低下させる。

 自分のチームにタスクを与えるとき、必要なリソースを与えてやらないなら、失敗するよう仕組むようなものだ。こうした状況に置かれたスタッフが、もっと持続可能なワークカルチャーのある会社に転職してしまうのは珍しいことではない。

 どうすればこうした状況を回避できるか

 スケジュールが立て込んでいて、リソースの無駄遣いが起きてしまう週はあるものだ。だが、タスクの重要性とインパクトを順位付けしたリストをつくると、状況を改善できる場合がある。

 あなたのチームが、キャンペーンを金曜日までにスタートしなければいけないとわかっているなら、それまでに彼らが終わらせなければいけないタスクをリスト化するのを手伝おう。また、彼らの現在の仕事量を考えたとき、そのスケジュールが現実的かどうかを検討しよう。スタッフに追加的なタスクを与える前に、あるいは次々とミーティングに出席させる前に、「この新しいタスクは優先事項か」「このスタッフは、このミーティングに欠かせない存在か」を検討しよう。もし答えが「ノー」なら、彼らが一番重要な仕事に取り組める余地を設けよう。