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プレゼンテーションがうまい人のほとんどが、特別な才能を持っているわけではない。スティーブ・ジョブズすら例外ではなく、入念なリハーサルを行ってから本番に臨んでいるだけである。では、どうすればリハーサルの効果を最大化することができるのか。筆者は5つのポイントを提示する。


 スティーブ・ジョブズは、当代きってのビジネスプレゼンテーションができる話し手だった。

 かつてビル・ゲイツは、ジョブズのことを聴衆に「魔法」をかける「魔術師」と評した。『フォーチュン』誌は、彼の基調講演は「世間ずれした心臓もドキドキさせる」と絶賛した。ジョブズはそのプレゼンテーションがウィキペディアの項目になっている数少ないCEOの一人である。彼の基調講演だけで、アップルの株価は急上昇した。

 しかし内幕を見てみると、彼のプレゼンテーションが持つ魔法の謎も解ける。練習、それも実に多くの練習を重ねたのである。「その場の思いつきで話しているように見えるのは何度もリハーサルを重ねた賜物だということに、たいていの人は気づいていない」と、元アップルCEOのジョン・スカリーは述べた。「スティーブは一つひとつの単語、舞台上での1歩1歩、製品デモの一つひとつを考えていた」

 プレゼンテーション力に長けた人が努力などしなくてもうまく話しているように見えるのは、完璧にできるように陰で相当な努力を積んだからに他ならない。

 私は20年近くにわたり、アマゾンやコカ・コーラ、インテル、マッキンゼーといった世界一流ブランドのリーダーたちが、よいプレゼンターから偉大なプレゼンターに変わる手助けをしてきた。

 リハーサルは、重要なプレゼンテーションを前に、時間を最も有効に使う唯一の方法である。そう私がアドバイスすると、驚く人は少なくない。だが、準備を重ねれば重ねるだけ、パニックに陥る可能性は減り、いっそう自信を持てるようになる。

 考えてみてほしい。宇宙飛行士や飛行機のパイロット、海軍特殊部隊「ネイビー・シールズ」の隊員は、どんな危機に直面しても冷静さを保つ能力を、生まれながらにして持っていたわけではない。彼らはトレーニングを積む。実地で直面するプレッシャーの大きな場面に備えて、よく似た条件下で訓練するのである。

 同様に、パブリック・スピーキングを繰り返し経験すれば、大きなイベントの前にしばしば感じる不安を和らげることができる。リハーサルのせいでロボットのようになったり紋切型になったりすることなどなく、むしろリハーサルがプレゼンターを自由にしてくれるのだ。その瞬間を楽しみ、情熱とエネルギーを持ってメッセージを伝えられるようになる。

 リハーサルで最大の効果を上げるには、次の5つのポイントが役立つだろう。