この落とし穴から抜け出すことは可能である。

 自分がこのような状況にいると気がついたら、まず、信頼できるメンターに助けを求める。難しい決断を下し、リスクを引き受け、かつリスクを管理できる人で、適切な助言をすることを心がけている人に相談するのだ。多くの企業は管理監督をする立場の従業員に、コーチやメンターに近い役割ができるように研修を行っている。まずは、そういう人に相談しよう。

 社内で信頼でき尊敬できる人が見つかっても、長期間、1人のメンターにこだわる必要はない。キャリアを積む過程で新しいメンターを探すことは、よくある健全なことだ。あなたが目指していることを達成した人を組織の内外で見つければ、より豊かな学びを得られる。

 続いて、メンターと接する時間を増やす。特別に難しい仕事や刺激を感じる仕事について話し合ったり、メンターが困難な決断を下してプロジェクトなどを成功に導いた経験について学んだりする機会をつくってもらう。あなたが企画した会合に招くこともできる。あるいは、メンターの振る舞いを観察する、彼らのキャリアに関する資料を読む、彼らが講演するイベントに出席するなど、間接的に学ぶこともできる。

 メンターと接するときは電話でも、ランチでも、直接会って話をするときでも、毎回、意味のある理由が必要だ。連絡を取るのは年6回までにするなど、相手の時間を尊重し、事前に論点と質問を整理しておく。メンターが実際にやってきたことや、彼らがどのような難題に直面し、どのようにそれを乗り越えたのかという話を中心にすること。多忙な人をメンターに持つ際は、彼らの話を聞きたい、彼らから学びたいと真剣に思うことが重要だ。

 メンターシップのほかにも、エグゼクティブ・コーチから定期的に助言をもらうこともできる。洞察力のあるコーチは、あなたが尻込みする理由を理解し、あなたが組織に提案できる価値をより明確に定義するために力を貸す。さらに、状況が変化してから対応する問題管理と、積極的な変化を率いるマネジメントの違いについて、理解を促してくれるだろう。あなたが自分で選択肢を考え、リスクを評価し、リスクをマネジメントする方法を理解するうえでも、コーチの力を借りることができる。

 ジョン(仮名)の例を紹介しよう。彼はミッドキャリアに差しかかった多くの人と同じように、日々の目標と問題を重視して、実証できる結果を出せば昇進につながると信じていた。ジョンが率いるチームは20四半期連続で目標の数字を達成したが、彼自身がより大きな仕事のチャンスを3回逃した後、キャリアが行き詰まった理由を知るために、ついにコーチに助けを求めた。

 ジョンの上司はコーチに対し、ジョンにはいつも安全策を取るのではなく、もっとリスクを選んで失敗も経験してほしいと伝えた。ジョンはコーチングのおかげで自分が何を期待されているのかを理解し、自分は結果を出してはいるが、戦略的問題に関する意思決定は改善が必要だと理解した。

 会社は、四半期ごとの業績に貢献するだけでなく、競争が激化する市場で持続的に成長するために、新しいアイデアを主導できるリーダーを求めていた。リーダーはチームのマネジメントだけでなく、その先の役割も求められていることを理解したジョンは、自分のスキルを流通戦略の変化につなげることができるようになった。