こうした本格的な再就職プログラムを経ずに、通常の採用という形で復帰した再就職者の場合、復帰したレベルはさまざまである。

 元MSNBCのプロデューサーで、13年間の中断の後に復帰したクエー・ケルチ・マトックスは、まず欧州、アフリカ、中東向けの放送事業を手掛けるアライズTVのブッキング・プロデューサーとして再就職した。次いで、英国の通信社サウス・ウエスト・ニュース・サービスのニュースエディターを経て、最終的にCNNのエディトリアルプロデューサーに抜擢された。

「本当に長い間キャリアを中断していたので、プライドを捨て、ある程度の地位に復帰すべきという考えを放棄する必要がありました」とマトックスは語る。「私に必要だったのは、まずはボートに乗って海へ出ることで、方向を定めたのは、その後でした。……しかも私は、このときすでに50歳に差し掛かっていたのです。『若い人が多いこの業界で、13年も中断した後にどうすれば戻れるのだろう?』と思っていました。CNNに再就職したとき、その仕事に求められていた経験はたった3年間でした。私には30年近くの経験がありました」

 やはり再就職者であるトレーシー・シャピロの場合は、13年に及んだキャリア中断の後、2011年にニューハンプシャー州ストラトハムにあるリンツ&シュプルングリー米国本社に一時雇用され、財務コーディネーターの仕事に復帰した。シャピロは一時雇用者として期待以上の業績を上げた後、正規雇用された。それから7年間で6回も昇進し、現在は経理財務部長を務める。

「部下の皆が経験した仕事すべてをこなしてきたおかげで、皆にとても信用されています」と彼女は語る。「皆が何をしてほしいのかが私にははっきりわかり、彼らもそれをわかっています」

 みずからも再就職を経験したある企業の人事採用担当者は、再就職プログラムの参加者と接して気づいたことがある。何年も前に就いていたレベルよりも低い地位の仕事に就くことを、ためらう参加者がいるのである。以前より低いレベルの職務をオファーされた候補者の中には、以前と同じ地位に戻る権利が自分にはあると思っている人もいるという。

 再就職する際には、以前よりも低いレベルから始めなくてはならない場合もあることを理解しておいたほうがいい、と彼女は訴える。彼女自身、以前よりも低いレベルの仕事で復帰する必要があったものの、過去の経験のおかげで昇進するのは早かった。復帰して3年が経ついまでは、中断する前よりも上の地位にいる。

「キャリアを中断した後、復帰して最初に就く仕事は一時的な仕事です」とアドバンシング・ウィメンズ・キャリアズのフリードマンは語る。「これからのキャリアの出発点なのです。レベルや給料が理にかなっており、全体として公正だと感じられることは大切ですが、次のステップも同じくらい重要です。復帰して最初の仕事の次にどこに向かうか、です」

 中断後に再就職者がどのレベルに戻るかは、今後も重要な問題であり続けるだろう。

 再就職者の立場から見れば、かつて高い業績を上げた能力は、キャリアを中断したからといって失われるわけではない。本格的な再就職プログラムが軌道に乗って進化するにつれ、企業内で成功を収める再就職者は増えるだろう。そうすれば、再就職する時のレベルと、中断前に積んだ経験や過去と現在に受けた教育、中断中に積んだ職務に結びつく経験、そして中断の長さとの相関を示すデータ点も増える。

 長期的には、長い中断後に再就職することもまたごく一般的なキャリアパスとなり、採用側と再就職側の期待が「適正な」レベルに収束するはずだ。

開示事項:ジョンソン・エンド・ジョンソン、JPモルガン・チェース、ユナイテッド・テクノロジーズ、IBM、マスターカードはiRelaunchのクライアント。ミッシェル・フリードマンはiRelaunchの特別顧問。クエー・ケルチ・マトックスはiRelaunchの諮問委員会のメンバー。


HBR.org原文:Should You Accept a Lower-Level Job After a Career Break? September 02, 2019.

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キャロル・フィッシュマン・コーエン(Carol Fishman Cohen)
キャリア中断の後に再就職するプロフェッショナルに狙いを絞った雇用プログラムを企業とともに着くるアイ・リローンチ(iRelaunch)共同創設者兼会長。彼女のTEDトーク「空白期間後に仕事へ復帰する方法」の再生回数は200万回を超す。Back on the Career Track(未訳)の共著者で、ポッドキャスト「3,2,1 iRelaunch!」の進行役。ツイッター(@iRelaunch)でも発信中。