「リターンシップ(再就職)」プログラムには2種類ある。上述のスー・ドーディックのようなプロジェクトベースのものと、職務ベースのものである。どちらも形式としては新卒のインターンシップに似ており、メンターや仲間、専門能力開発のための講座、幹部に会う機会、体系化されたオリエンテーション、新入社員のためのプログラムなどの支援が組み込まれている。

 職務ベースのプログラムでは、参加者それぞれが実際に空いている職、たとえばプログラムマネジャー、プロセスエンジニア、サプライチェーンアカウントスペシャリストなどの職に就く。それらの職務に就いてから、最初の12週から16週間(プログラムによってはもっと長期間)はリターンシッププログラムに参加する。このプログラムを成功裏に終了すれば、同じ職務とレベルを保ったまま正社員になる。

 ただし、その時点で、報酬は上方修正される可能性がある。特に長期にわたるキャリア中断から戻ってきた人の場合は、リターンシップの期間中に上げた業績と発揮した潜在性によって変わってくる。職務ベースのリターンシッププログラムの例として、ユナイテッド・テクノロジーズの「リ=エンパワー」やジョンソン・エンド・ジョンソンの「リ=イグナイト」、IBMの「テック・リ=エントリー」、マスターカードの「リローンチ・ユア・キャリア」が挙げられる。

 職務ベースのプログラムでは、参加者がどんな肩書やレベルになるのかわからずに過ごす期間がない。再就職したい人は自分にふさわしいと思う職務に応募し、採用側はその職務に最適だと思う候補者を選ぶ。

 職務ベースのプログラムは関わる誰もがその先を合理的に予想できるため、人気が高まっている。採用側は、いまから6ヵ月ほど先に社内でどの分野の人員を雇用したいかを推測する必要がないし、参加者は初めからどのような職務に就くかがわかるからだ。

 参加者が1年から20年以上のキャリアの中断期間を経て戻ってくるため、採用側は雇用にはある程度のリスクを伴うと見ている。試用期間を設けることでそうしたリスクを下げるとともに、一連の面接ではなく、実際の仕事ぶりをもとに採否を決定できる。