なぜビジネススクールは
政府の役割をサポートすべきか

 すべてのビジネススクールは、資本主義と大企業、そして政府に対する信頼失墜に危機感を覚えるべきだ。

 資本主義と大企業と政府は、システムの不可欠の要素であり、その信頼低下は、ビジネススクールへの入学希望者や支持が低下する恐れがあるだけでなく、ビジネススクールは世界をよりよい場所にするという、本来のミッションを果たしていないことを意味する。現代の分断的な政治風土では、資本主義への信頼が低下している原因に対処しなければ、究極的には、企業と社会の両方を傷つける政策につながる可能性がある。

 ビジネススクールのリーダーとステークホルダーは、すでに懸念を表明してきた。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のニティン・ノーリア学長は最近、資本主義システムへの信頼失墜を、HBSにとって最大の課題だと認めた。2017年、スタンフォード大学経営大学院の1年生80人は、ビジネスと社会に関するディスカッションを増やすよう求める書簡に署名した。最近同大学院を卒業したベロニカ・ピュージンは、「資本主義の新しい時代を構築するときがきた」と書いている。

 ビジネススクールも、もっと行動を起こすべきときだ。民間部門のことばかり扱うのではなく、政府の役割を認め、あらゆる領域でよいガバナンスの重要性を強調すべきである。すでに多くの人が、株主至上主義を見直し企業は幅広いステークホルダーに配慮するべきだと主張しているが、市民の保護は、まさに政府の仕事であることを思い出すべきだ。

 有効な政府は、市場の力ではできないとき、対立する利益のバランスを取り、ステークホルダーを守る(たとえば消費者、労働者、環境を保護するルールを策定する)。倫理的で思いやりのある企業リーダーがいることは結構だが、政府こそが私たちの共同行動を体現するものである。政府は、社会のウェルビーイングを推進し、社会に対するダメージを防止する最適なツールを持っていることが多い。

 政府がその義務を果たすためには、適切な権限とインセンティブとリソースを持つ公務員が、公益のために働く必要がある。政府が社会のために適切に機能する(そして社会に対して説明責任を担う)ように、ビジネススクールを含め、私たち全員が力を貸す義務がある。

 ビジネススクールがこの課題に向けた対応を強化し、より市民マインドになれば、企業が利益を上げると同時に、社会にもたらす恩恵を最大化することのできる環境をつくれるだろう。私たちは、資本主義のよりよい未来をつくるという、ユニークなチャンス(ひょっとすると義務)を手にしているのだ。