では、企業はこうした努力を、今後の成果につなげるにはどうすればよいだろうか。我々が見出した答えは、シンプルだが少し皮肉的でもある。人間の体験に焦点を当てるのだ。

 我々が本調査およびクライアントとの経験の両方を通じて学んだのは、組織のデジタルIQを高めるうえで、人間の体験が決定的に重要だということである。自社のデジタル施策は、顧客と従業員の体験にどう影響を及ぼすのか。この点を企業は熟慮しなければならない。最大の善意にもとづく取り組みでも、人々に予想外の影響をもたらす場合があるのだ。

 我々の調査対象のうち、業績トップの企業群(売上高と利益率の伸びが過去3年間で5%を上回り、今後3年間の売上高成長率を5%以上と見込んでいる企業)は、デジタル技術を取り巻く人的体験について理解を深めている。これらの企業がデジタルの取り組みで優先しているのは、ユーザー体験の専門家の活用と、優れた顧客体験の創出だ。

 つまり、総じて次のことがいえる。CIOを重用し、ITを全社戦略の一部として組み込み、IT投資の成否がビジネス目標の成否と結びついていることを心得ている――このような企業こそ、明日の、そして今後10年間の課題に取り組む態勢を最も整えることができるのだ。


HBR.org原文:How the Meaning of Digital Transformation Has Evolved,  May 29, 2017.

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トム・プティヤマダム(Tom Puthiyamadam)
PwCのプリンシパル。ニューヨークオフィスのアドバイザリー部門でグローバル・デジタルサービス・リーダーを務める。大手企業を対象に、最先端のデジタルファースト型事業戦略の導入によって成長を支援するプログラムの開発に注力している。