自己認識がリーダー、フォロワー、
そしてチームを動かす

 そして、オーセンティック・リーダーシップと共に注目されているのが、シェアード・リーダーシップだ。中原氏はシェアード・リーダーシップを「共通の目標に向かって、自分らしさや自分の専門性を活かしながら、お互いによい影響力を与えあって前に進む状況」と説明する。

 オーセンティック・リーダーシップはリーダー個人の行動に起因するリーダーシップだが、シェアード・リーダーシップは一人ひとりがリーダーとなり、全員の行動によって生み出される「状況」をリーダーシップと捉えているところに大きな違いがある。

「シェアード・リーダーシップは、日本で言う、『チームワーク』に近い概念かもしれません。自分の専門性のある分野に関してはリーダーになるが、それ以外の分野ではフォロワーになる、といったようにリーダーとフォロワーを行ったり来たりしながら、共通の目標に向かって前進していくリーダーシップのあり方です」と説明する。

 1人のリーダーに依存するよりも、全員がリーダーとなる方が、メンバー一人ひとりのモチベーションが高まり、職場・組織への愛着も高まり、コミュニケーションも活性化し、各個人の強み、専門性を活かせるというメリットもある。

 シェアード・リーダーシップが求められている背景には、変化が激しく、競争力の高い製品サービスを生み出しにくいビジネス環境がある。こうした状況下で、これまでにない新しい価値を生み出すためには、多様なメンバーがそれぞれの専門性を発揮させ、チーム一丸となって取り組む必要があるのだ。

 しかし、問題もある。自分自身の強み、専門性を認識できていなければ、チームに貢献することができない。「シェアード・リーダーシップの根幹もやはり『自己』にあります。自己についてきちんと理解できていなければ、自分らしさ、自分の専門性が生かせないだけでなく、他のメンバーについても、その強みや専門性を活かせなくなってしまいます」