2.支援にもっと積極的である企業文化を追求する

 家庭生活の支援制度をもっと活用するよう管理職を教育することは、間接的に企業文化によい影響をもたらす。

 大半のイタリア企業の文化は「理想的な従業員の枠組み」と呼ばれるものの上に築かれている。ここでいう「理想的な従業員」とは、物理的にオフィスの中にいて、1日24時間年中無休で仕事をすることが可能で、必要なときには仕事を優先して私生活を犠牲にする覚悟がある人、すなわち典型的な企業戦士である。

 このモデルは男女両方に当てはまるが、イタリアでは「理想的な従業員」として、家事専業のパートナーのいる男性を想定している場合が多く、ごくまれなケースでは独身女性を指す。

 したがって我々の調査で、企業が家族休暇を申請した女性を男性よりも手厚く支援するという結果が出たのは、驚くことではない。幼い子どもを持つ父親は、長い育児休業を取るよりも、理由を言わずに済む普通の有休の取得を好む場合が多い。育休を取る資格があっても、である。

 これは育休を取ることが、のちに悪影響を及ぼすのを避けるためである。事実、調査対象者の81%が、勤務先の企業文化は私生活を支援していないと評価した(5点満点で3.25点以下)。

 これとは対照的に、伝統的な枠組みに収まらない働き手を冷遇するのではなく、むしろ支援する組織で働く従業員は、ワーク・ライフ・バランスをうまく保ち、仕事と家庭のせめぎ合いを減らせる傾向にある。また、そのような職場にいる人はフレックスタイム制を活用し、援助してくれる上司の下でならば、勤務時間を減らす傾向がある。その結果、従業員はみずからの役割に対する満足度が高く、組織に対する忠誠心も強くなる。

 こうした研究結果を踏まえると、企業文化の土台を確立するために管理職を教育することに加え、従業員リソースグループ(ERG:民族や性別、性的志向などを共有する従業員同士をつなぐグループ)をつくれば、組織の中で少数派であると感じている従業員に対して、サポートやリソースを提供する貴重な手段になると我々は考える。