デジタルトランスフォーメーションを実行するうえで、デジタル分野に関する豊富な知識と経験を持つ人材をトップに据える企業は多いだろう。だが、それは成功への近道どころか、大きな失敗を招く可能性すらある。専門知識に乏しくても、学習意欲が高く、事業と人に精通する社内人材を抜擢すべきだと筆者らは主張する。


 自社のデジタルトランスフォーメーションは、誰に任せればよいのだろうか。ここで、以下3人の候補がいると想像してみよう。

・ウィリアム:社内の人間。優れた実績があるものの、デジタルにはあまり詳しくない。
・サラ:若く、デジタルに精通した専門家。前職のアマゾンで、新たなカテゴリーの拡張を主導した。
・ソフィア:元マッキンゼーのコンサルタントで切れ者。デジタル分野でクライアントに助言してきた経験あり。

 あなたなら、誰を選ぶだろうか。筆者らがアンケートを取った企業幹部らのほとんどは、デジタルの専門家であるサラを選んだ。はたして、その選択は正しいのだろうか。

 ある世界規模の機器製造会社が、デジタルトランスフォーメーションの過程でまさに上記のような専門家との間で経験した、実際の事例を考えてみよう。