どんな些細なことでも「ノー」を言うのは難しい。賛成は好意として捉えられる一方で、反対は拒絶であり脅威だと見なされる。あなたが新参者だったり、強力な権限を持つリーダーに異を唱えたりする場合は、そのような評価を下される可能性がより高まる。本稿では、自分の意思をはっきりと主張しながら、周囲の反発を和らげるための4つのヒントを示す。


 何に対して「ノー」と言うかによって、あなたという人物の輪郭や人生の形が決まる。

 たとえば、誘いを断ることは、最も大切なことにイエスと言うために必要な注意力を温存するすべになる。あなたの価値観を曲げるような要求にノーと言うことで、その価値観に踏みとどまることができる。提案に懸念を示すことは、自分の思考を見つめることになる。熱狂している人たちに異を唱えることは、自分に誠実であることの証だ。

 彫刻家は、石から不要な部分を削り取ることによって、芸術作品を生み出す。同じように、あなたが拒むものをそぎ落としたあとに残るのが、あなたという人間だ。

 カーラの例で考えてみよう。カーラは実績あるNPOの理事長だった。そのNPOは過去10年間、目覚ましい成果を上げ、寄付者から愛されてきた。40名もの優秀なスタッフを抱え、月々のバーンレートは50万ドルだった。

 1年前、理事会は設立当初のミッションをほぼ達成したという結論を出した。問題は「次はどうするか」だった。理事の一部とエグゼクティブチームの大半は、解散するのではなく、新しいミッションを見つけるべきだと強く主張していた。だが、惰性のように寄付金を使い続けるべきではないとして譲らない人々もいた。財政面でも信頼に足るような、説得力ある存続理由を見つけるか、解散するかのどちらかであった。

 エグゼクティブたちは、3つの新たな戦略を候補として提出した。だがカーラは、そのどれにも重要性を見出せなかった。話し合いが始まると、理事たちはこの案がいい、いやこっちの案がいいと熱心に説いた。カーラは丁重に耳を傾けていたが、内心ではどうやって反対意見を表明すべきか悩んでいた。

 ノーと言うのは大切だが、私たちの多くはカーラのように、いざそうしなければいけない段になると怖くなる。

 ノーと言いにくいのは、残念ながら私たちは賛成を好意として、反対を拒絶として受け取る動物だからである。賛成してもらえなかったり断られたりすると、それは敵意を持たれているからだと解釈してしまう(たいていは間違っているのだが)。誘いを断る人、自分の考えに賛成してくれない人、プランに反対する人を脅威として感じてしまうのだ。そのため、自分が断る立場になると、相手もそう感じるはずだと思い込む。

 ノーと言うことは、ただでさえ腰が引けるものだが、周囲からの知覚リスクがさらに高まる条件が6つある。